開催レポート|2020年夏、フェスの灯は消えなかった #ライブフォレスフェス からハイライフ八ヶ岳へ

2020年は夏フェスがなかったなんて言わせない。ここにあった。夏フェスの灯は消えなかった。

『2020夏、「フェスの灯を消さない」』とキャッチコピーをつけた『#ライブフォレストフェス ~森と川と焚火の音楽祭〜』の3日間が終了しました。

2020年夏、フェスはあった。

ご存知の通り、2020年は新型コロナウイルスが感染拡大し「フェス」はことごく中止や延期に追い込まれました。フェスの運営や制作を生業とするアースガーデンにとっては致命的な事態だし、フェスを生きる希望にしているフェスファンのみなさんにとってもつらいこと。

このあまりにも衝撃的な時代に、アースガーデンが考えたことは「感染対策を徹底しながらフェスを開催する」ことでした。

無観客のライブ配信からはじめて、15人、70人、150人と徐々に参加人数を増やし、出店や飲食をいれて、野外ライブから野外フェスへの準備をしてきました。そのたびに、感染対策をアップデートし、社会の状況を見ながら開催を重ねてきました。

満を持して発表したのが「 #ライブフォレストフェス 」です。3days、3ステージ、マーケット・フードエリアを展開。素晴らししいアーティストのみなさんに出演いただきました。

あったけど、今までとは違うフェス

開催発表直前からコロナの第二波と言えるような感染拡大が発生し、当初当初1日300人を目標にしていた参加者の人数を削減。200人目標としました。時間がない中で、感染防止や配信のクオリティアップ、フェスとしての体験の向上などに取り組み、スタッフはみな満身創痍でしたが、どうにか当日を迎えることができました。

2019年とはちょっと違う、2020年の夏フェス。観客席にはアウトドアチェアが並び、参加者にはマスクをつけてもらいました。「コロナ時代の野外フェスのお作法」をまとめ場内に掲示して、ルールを呼びかけました。

初日となる7/31、日没前に登場したtoeは「Long Tomorrow」からスタート。持ち前の質実剛健なパフォーマンスを披露しました。心なしか過去に観たライブよりも一層熱を帯びているような印象。焚き火とともにマジックアワーの会場を包み込みました。バンド結成以降、こんなに長い期間ライブをしなかったのは初めてだと言い、ライブフォレストフェスに参加できたことへの感謝を伝えてくれました。

2日目、8/1に出演した七尾旅人。パフォーマンスは約半年ぶりになるといいます。徐々に暗くなる会場に「お客さんの顔が見たい」と照明が繋がれた椅子を自ら担ぎ、観客を照らしながら「Rollin’ Rollin’」。演奏終了後には、フェスとしては異例のアンコールが起き、再び登場。これまで数えるほどしか披露したことのない楽曲「途方もないこと」を演奏し、会場を沸かせました。

最終日、8/2にでは、オオヤユウスケのソロ・パフォーマンスが印象に残りました。彼のソロでいつも独特な波のように繰り返すギターと歌の重なりが、会場の森と一体化して降りそそぐひぐらしの鳴く音と交じりあい、絶妙に心地よい世界に導かれました。さらにそこから反転したNABOWAのテクニカルでエッジの立った演奏、オオヤが加わった最後のセッションまで、大きな自然と人の呼吸を感じる夜でした。

参加者のみなさんは、みんなルールを守ってくれました。ありがとうございました。ライブだけじゃなくて、マーケットやフード、河原や滝、メインステージ以外のステージも目一杯楽しみながら、きちんと感染対策に応じてくれました。さらに、会場にはいないけど、配信でフェスを楽しむ方も大勢います。まさにニューノーマルなフェスがここにありました。

SNSでは、会場や配信で楽しむ参加者の声も投稿されました。

https://twitter.com/kojikumi_63/status/1289753305116110848

https://twitter.com/timeismoneycpa/status/1289814320411336704

目の前に参加者がいる環境でライブをしたのは数カ月ぶりのアーティストも多いようで、その感動を伝えてくれています。

七尾旅人

コロナ禍のなか諦めることなく試行錯誤を重ねてあの場を成立させてくれたライブフォレストフェス主催チームの皆さん、並大抵ではない苦労があったと思います。
そして「仕事は本当に久しぶり」だったというPAさんや舞台さん(VJのミッチェも)お互いマスク姿で最初は誰かわからなかったんだけど、元々すごく信頼しているクルーがステージまわりを担っていて、とても安心感がありました。

なにより、高いレベルでマナーを維持しつつ、
一緒にこの日だけの音楽を作り上げてくれたお客さんたちに、心から感謝したいです。
いったんステージからはけた後も「たびとー!」と(おもに男たちの…野太い)声が聞こえ、
フェスにもかかわらずアンコールが沸き起こったのもうれしかったです。

いちばん最後はあえて未発表曲の「途方もないこと」を歌わせてもらいました。

「途方もないこと」 半年ぶりの有観客ライブを終えて|七尾旅人|note

NakamuraEmi

そしてわたしもライブさせていただきました。
Gt.カワムラヒロシさん
久々の二人演奏

そしてコロナから約40本のライブがなくなり
お客様が目の間にいることは
5ヶ月ぶり。

マスクをしていて
皆の表情は分から無いけれど
一生懸命聞いてくださっているのを感じました。

配信の皆様も
コメントしてくれたり
本当にありがとうございました。

久々にカワムラさんのソロもゆっくり聴けました。
アコギとナイロン弦での
表現力の違いと
シンプル編成ならではのカワムラさんの圧倒的なギター力。

わたしはヒグラシの音が スケボーやボブや新聞の曲に
勝手にコラボになっていたのが
とても染みました。

作り込んでいない
自然なものと
調和できたときの感動は
やっぱり いいな

ライブフォレストフェス 感謝 | NakamuraEmi

関口シンゴ

この週末は実に7ヶ月ぶりのライブでした。たしか自粛期間前の最後は二子玉川ライズでの坂本美雨さんとのクリスマスライブ。まさかその後半年以上ライブが出来なくなるなんて思ってもみませんでした。(もちろん世界中の人が同じ気持ちだと思いますが)

久しぶりにお客さんのいるステージに立ってみて(大半座ってたけれど)、そこにいる人たちの表情を見たり拍手を頂いたり、今まで当たり前だったことがとても新鮮に感じられました。
「ああ、人がいるなぁ」
とずっと思いながら演奏していたように思います。

もう一つ新鮮だったのが、配信で観てくれているであろうお客さんの姿も、同時に想像できた、感じれたということです。

7ヶ月ぶりのライブ|関口シンゴ|note

「#ライブフォレストフェス」から「ハイライフ八ヶ岳」へ

2020年の夏フェスがここにありました。参加者のみなさんが証人です。なかなか希望が見えないこの時代に、小さな希望をつなぐことができたと思っています。アーカイブは配信チケットでまだみることができます。チケットを購入してみてください。

これらの挑戦を踏まえ、アースガーデンではさらにもう一歩挑戦します。主催フェス「ハイライフ八ヶ岳」をコロナ対策をしたフェスとして9月に開催します。#ライブフォレストフェス よりも多い人数を迎えることになるでしょう。これまで築き上げた感染対策をさらにアップデートさせて、野外フェスの灯をつなぎ続けます。

春、夏のフェスが延期中止になり、秋に延期したフェスも多いですが、状況的には厳しさが増しています。アースガーデンでこれまで重ねてきた感染対策を活かし、どうにか安全に開催したいと考えています。

最後に、七尾旅人さんがアンコールで歌ってくれた「途方もないこと」の歌詞を引用します。ライブでほとんど歌っことのないというこの曲に込められてた思いを大切に…。

薄明かりのした 誰かがささやく
手を伸ばせ 手を伸ばせ
その闇の向こうへ