フェスがこれからもあり続けるために。「少人数観客野外ライブ」をやること、見てもらうこと

2回開催したアースガーデンの野外ライブ配信プログラム「多摩あきがわ #ライブアットホーム」の手応えと、withコロナ時代のイベントについてまとめました。次回の配信についても書いています。ぜひお読みください。

挑戦をする、挑戦を広める

「多摩あきがわ #ライブアットホーム vol.2」では「少人数ながら観客をいれる」ことに挑戦しました。人数にすればわずか15人ほどですが、音楽関係者や、地域の人を招待しました。この観客を入れた野外ライブは、生配信やアーカイブを通じて、観客以外の多くの人に広がっています。

大事なのは「参加者を入れたイベントがこうやってできる」んだと、「やってみる」こと。そして「できた事実を目撃した人がいる」ことです。

政府の発表によれば、5/30現在、6月18日までは「屋内であれば100人以下、かつ収容定員の半分程度以内の参加人数にすること」「屋外であれば200人以下、かつ人と人との距離を十分に確保できること(できるだけ2m)」が目安となっています。今後、いくつかのステップを経て、人数制限は少しずつ解除されていくとされています。

少しづつではありますが、イベントの制限が解除されています。

フェスやライブがこれからもあり続けるために、イベントの主催者は、細心の注意を払いながら、少しずつ参加者をいれたライブを再開していく挑戦と勇気が必要です。また、観客のみなさんには、その挑戦と勇気を目撃し、広める役割があります。

参加者を入れたイベントへ挑戦する、その挑戦を広める。この2つが少しずつ循環していくことで、社会に「イベントやっても大丈夫なんじゃない?」という空気が醸成されていく。科学的根拠とともに、イベントへの安心が広まっていくことが大切だと考えています。

その先は、フェスティバルを再開できる可能性も待っています。

「野外ライブ配信」から「小さな野外フェス + 配信」の挑戦

アースガーデンでは、次の配信ライブにおいて、入場券を発売する予定です。「野外ライブ配信」企画から、「野外フェス + 配信」のハイブリッドへの挑戦と言ってもいいでしょう。

前回は親しい人を招待しただけでしたが、いよいよ公に観客を募ります。もちろん、人数制限や空間の使い方には細心の注意を払います。

批判があるかもしれません。観客は来ないかもしれません。しかし、重ねてとなりますが、少しずつ壁を取り除いていく挑戦こそに意味があるのです。

配信も、過去2回は無料でしたが、有料にします。これも挑戦です。無料配信とはいえ、経費は確実にかかっています。前回は寄付もいただきましたが、このままでは継続することができないのです。

ステージやスピーカーは地面からにょきにょき生えてくるわけではありません。誰かがステージの部材を管理し続け、会場まで運び、建てて、撤去してるいるのです。もちろん、アーティストのみなさんをお呼びするための予算も必要です。観客のみなさんの意識も変わってもらわないといけないと思うのです。

過去にアースガーデンで収録させてもらった「オオヤユウスケ(Polaris)×勝井祐二」の対談では、こんな話がありました。

【インタビュー】オオヤユウスケ(Polaris)×勝井祐二|色とりどりの緑に囲まれた森のフェスと標高1,600mで行われる空のフェス

勝井 野外フェスには豊かな自然が欠かせません。でも、会場を特別にするのはみんなのフェスを作ろうとする意志だと思います。スタッフさんが準備をして、お客さんが集まる。みんながフェスを作って楽しもうとする意思を持ち寄るから、そこにしか生まれないグルーヴがある。
  
オオヤ 人が集まることに意味がありますよね。ライブを見たり、お客さん同士で話をしたり、トークを聞いたり。キャンプをして、料理を作って。
  
勝井 それぞれがやれることを持ち寄って参加するという感覚はありますよね。我々はたまたま音楽ができるというだけで、もしかしたらお客さんと変わらないのかもしれない。

参加者もアーティストも、関わる人みんなが自分のできることを持ち寄る場。みんなで野外で楽しむ文化を守っていきたいのです。今、なんとしても生き残り、その文化を残し、発展させていかねばなりません。

地域と配信の相乗関係

世界の絶景にサウンドシステムを持ち込み、DJやライヴの配信・アーカイヴを展開してきた「Cercle」をご存知ですか?

ファットボーイ・スリム、カール・コックス、ニーナ・クラヴィッツ、ボリス・ブレッチャなど世界に名を馳せるDJが出演するCercleのショーは、開催直前にFacebookで告知される。それに気づき、枚数の少ないチケットを手に入れた幸運なファンだけがショーに参加できる。
 
ただ、そのプレイはFacebook Liveで生配信され、リアルタイムで数千人が動画を楽しむ。アーカイヴ動画はYouTubeにアップロードされ、再生回数が100万回を超える動画も存在する。
 
世界の絶景でDJする音楽配信プラットフォーム「Cercle」が、ついに日本にやってきた!

主催者のデレク・バルボラさんによれば、Cercleは、開催場所との相乗関係を生み出しています。

ぼくたちの収入のほとんどは、ショーのチケット代とバーの売上だよ。それらを合わせて収入全体の80パーセントを占めている。このプロジェクトは大きな観光効果があるから、ロケーションを管理している組織や公的機関からのサポートを受ける場合もある。
 
1,000人から2,000人が参加するショーであれば、チケット代とバーの売上だけで成立するけれど、Cercleの動画を観てもらえばわかるように、観客を入れない場合もある。そんなときは、文化省や観光庁に支援してもらう。YouTubeからの広告収入は、実は金額で言えば大したことないんだ。

──Cercleのショーは、観光にもポジティヴな影響を与えていると思いますか? 
 
もちろん。とてもいいインパクトを与えていると思う。フランスでは博物館や城を訪れる若者は減っている。けれども、ぼくらのショーの配信やアーカイヴを通じて、その場所に若者も足を運びたくなると思うんだ。

過去にショーを開いたある城では、「ここでCercleが開催されたんです」と、観光ガイドが紹介してくれたりもする。もはやその場所の歴史の一部になっているってことだよね。

2016年から始まったCercleには、withコロナ時代のイベントのあり方のひとつになるでしょう。地域の魅力を発信しつつ、音楽の楽しさを伝える。
 
#ライブアットホームは、タイトルに「多摩あきがわ」と明記し、アースガーデンの拠点のひとつである東京外縁の自然の中から、配信をお届けしてきました。自然の中だからこそ、3密をさけてイベントができるし、音楽とともに自然の気持ちを届けることができる。地域性こそが、withコロナ時代のイベントの解決方法であり、イベントのアイデンティティでもあります。

将来的には、Cercleと同様、イベントの名前はそのまま、他の地域から配信を届けていくような可能性も見据えています。こうしたアースガーデンの挑戦、新たなイベントのお知らせは近日中にお届けできるはすです。しばし、お待ちください!

写真:師岡龍也

というわけで、こちらが次の企画です!

多摩あきがわ ♯ライブフォレスト ComplianS(佐藤タイジ& KenKen)/ 勝井祐二(ROVO) / 辻コースケ(GOMA & JRS他)