ダイジェスト版テキスト「今、フェスができること、音楽ができることVol.2−動き始めた限定集客ライブと模索を続けるライブハウスの未来−」

コロナ禍の元、生活者は自粛が求められ、その結果エンタメ業界は多大な打撃を受けました。今までとは同じように楽しむことは出来ず、新たな変革が求められる中、 この状況を打破しいかに新しいスタイルを打ち出せるかが問われています。

ポストコロナ時代における「社会の自立分散性を獲得する」ための新しいライフスタイルや音楽ライブなどの未来像を探るトークプログラム「今、フェスができること、音楽ができること」の第二弾を渋谷ロフトナインで7/9実施、7/11に限定集客ライブを開催するROVOより勝井祐二氏と山本精一氏、Festival Life編集長の津田昌太朗をお招きし、フェスやライブハウスの現状と課題を語っていただきました。その一部をご紹介いたします。

登壇者

勝井祐二 アーティスト
山本精一 アーティスト/難波ベアーズ店長
津田昌太朗 Festival Life編集長
加藤梅造 ロフトプロジェクト社長

〈ファシリテータ〉南兵衛@鈴木幸一 アースガーデン主宰/「♯ライブフォレスト&ハイライフ八ヶ岳」主催者

7/11 入場チケットが即完したROVOの野外ライブを配信で見よう!!

4月の京阪ツアー、5月の日比谷野音MDTフェスティバル、蒲郡「森、道、市場」、長野県「八ヶ岳ハイライフ」、新潟「フジロック・フェスティバル」と、今年予定していたライブをすべて中止もしくは延期したROVOの野外ライブを開催!

オンライン配信によるフェスとライブの多様化

イベント当日、東京都でのコロナ感染者が224人を記録したことが報じられた。

今回はROVOをはじめ複数ユニットでアーティストとして活躍すると同時に難波ベアーズ店長である山本精一氏、同じくROVOの主宰者である勝井氏が登壇。

報道を受けての心境を尋ねると「やはり他県から東京へ、都内在住でも会場のある渋谷へ来ることへの躊躇は正直あった」という率直なコメントを述べた。

前回に引き続き、登壇者として壇上に上がったロフトプロジェクト社長の加藤梅造氏は、ライブハウスの現状について「集客ライブは少しずつ再開しているものの、やはり毎日実施、集客するのは難しい」という現状を解説。

難波ベアーズではビニール幕を張ったり、空気清浄機を導入したりと対策を立てている。しかし、大阪府で発令されたコロナ対策の「大阪モデル」に従い、営業するためには会場キャパシティを半分に落とす必要がある。経営としては厳しいという、経営者としての本音が語られた。

前回に引き続き登壇したFestival Life編集長の津田昌太朗氏は、オンライン配信の新たなテーマ性、多様性が感じる最近のフェス事情を紹介。

例えば、イギリスの野外フェスグラストンベリーフェスティバルは、開催を延期した期間中に、過去のアーカイブを連日配信。過去のアーカイブを配信するだけではなく、アーティストが登場してコメントとともにMVを配信したり、インタビューなどのトークを中心としたコーナーがあったりと、コンテンツが多岐にわたっていて話題となったそうだ。

国内では8月1日(土)に開催されるBLOCK.FESTIVAL Vol.2‬が「夏の花火」をテーマに企画が用意されている発表もあった。

ライブハウスのこれからは?

一方、勝井氏はタブラ奏者、U-zhaanと都内のライブハウスで7/5に集客+配信ライブを予定していたものの、都内のコロナウィルス感染者増の報道を受け、急遽配信ライブのみに切り替えたそうだ。今後はこのような柔軟な対応が求められるという話をし、登壇者はこれに皆深く理解を示した。

その中で、山本氏が配信だけでは限界があると言及。特にアンダーグラウンドな音楽シーンを提供するライブハウスでは、元々オーディエンスの絶対数が少なく、オンラインも取り入れたハイブリット式にしても配信のための経費が負荷となり、成り立たないと説明。ライブハウス大手のロフトグループでも配信ライブをやっているものの正直厳しいというのが現状だと、加藤氏も同意した。

山本氏は大阪のアンダーグラウンドシーンを牽引する難波ベアーズは、ファンや関係者によるさまざまなドネーションがあったことに感謝を述べるとともに、自身による無観客・無配信ライブなどユニークな取り組みをした。しかし、これらも短期的な取り組みで長期的に続くものではなく、画期的な施策があれば教えてほしいと訴えた。

ROVO LIVE FOREST 2020チケットは約1時間で完売

7/11(土)に東京のあきる野市で行われる「ROVO LIVE FOREST 2020」は150名限定で告知したところ、約1時間でチケットは即完。主催者側もROVOファン、音楽フェスやライブを愛する人たちの渇望を目の当たりにした。

主催のアースガーデンでは、コロナ禍においてあきる野市のキャンプ場「自然人村」で、「#ライブフォレスト」という限定集客ライブを度々実施してきており、野外で三密にならない環境を実現してきた。ROVOとしても8ヶ月ぶりとなるライブとなったが、これまで「#ライブフォレスト」に参加してきた勝井氏は、メンバーの温度差は正直あるかもしれないが、この会場の森の中ならではの「風通しの良い、安心感のある会場」に、ここであれば、という想いもあり今回のライブが実現したと述べる。例えるなら、フジロックのジプシーアバロンのような、あるいは大型フェスで一番奥にある会場のような心地よい環境だと言う。

各メンバー自身も当日の集客ライブを実施して良いのか、という葛藤がありつつも、ROVOはこれまでも「パーティをやる」場所作りを行ってきたことを自負する。その例が日比谷野音で毎年開催しているMDTフェスティバルだったが、今年は中止となった。だが、野音では実現できない「焚き火」をライブフォレストでできるのは楽しみとも話しており、今回のROVO LIVE FOREST 2020もROVOっぽく楽しめたら良い、という勝井氏の言葉でイベントは締め括られた。

6/26 リアルトークイベント&配信をテキストアーカイブ|今、フェスができること、音楽ができることVol.1 夏フェス早期回復のための作戦会議