いつかどこかの虹となる【コラム|感じるために生きている】

みなさんは、”水”・・と一言聞いて、どんな”水”を想像しますか?蛇口から出てくる水道水を思い浮かべましたか?海や川などの場所を思い浮かべた方もいるでしょう。また、”水”自体の様子も、荒ぶっているような川の濁流もあれば、穏やかな川もあります。

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「Story about Water」

アースガーデンフリーペーパー vol.39
http://www.earth-garden.jp/feature/fp39

我が家の脇には、ゴルフ場も何もない山から”水”が染み出て流れになった美しい沢があり川に合流していきます。飲み水にも困っている国と比べたら、日本は本当に”水”に恵まれていて、想像できる”水”のバリエーションも豊かで、それはとても幸せなことだと思います。

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そんな表情豊かな”水”の中でも、私の好きな”水”のある光景があります。それは【雨上がりの水たまりに、幼い子が小さな長靴をはいて、楽しそうに遊んでいる姿】です。フェスに来ている子どもたちのポンチョなどのレインウエアーと長靴姿も、色とりどりで本当にかわいいですよね。

小さな子が水たまりを見付けてチョコチョコと駆けていくとき、ママやパパに「水たまりは入っちゃダメ!」と注意されているのにもかかわらず、どうしても…どうしても…ど〜しても、水たまりに入りたくなってしまう。靴だろうが、長靴だろうが、もうすでに全部の靴がびしょ濡れだろうが、あと1枚しか乾いた着替えがなかろうが、お構いなしです。

水たまりには、空も映りますし、光が射せばキラキラ輝き、指先でちょんとつつくだけで小さな波紋ができます。澄んでいる水も、バシャバシャするだけで泥がまじって濁ります。深さによって水を踏みつける感覚も違うし、跳ねる水の動きはその時々で全部違う。足の入れ方でいろんな音がして、さらに運がいいと、蝶々が飛んできて水を吸ってくれるかもしれません。

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私たちは自然たっぷりのフェス現場で、長靴を履くことも多く、また水たまりに入る機会だって普通のオフィスワークの方よりはずっと多いと思います。私は未だに水たまりにそっと心を魅了されており「長靴だから平気だもん」と心の中で大人の自分に小さく言い訳をしながら、どの位の深さかはっきりしないような大きな水たまりを避けることなく、勇敢めいた気持ちで入ることがあることを、ここで告白します(笑)。

ただ水が地面の凹んでいる場所に溜まっているだけなのに、なんで入りたくなるのでしょう?イタズラ好きの妖精でもいるんじゃないか?とか…嘘です…。子どもっぽい自分をごまかしそうになりましたが、あなたも同類ではありませんか(笑)。寒い地域では、冬この水たまりが、霜柱になります。これを踏んで歩くのも、本当に素敵な体験です。

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水たまりにポツポツしていた雨が上がったとき、もしくは上がりかけに太陽の光が射してきたら、太陽と反対の方向の空を見上げてみましょう。美しい虹がかかっていることがありますね。フェスで虹がかかると、多くの人がおもむろに携帯で虹を撮影します。男女問わず、みんな幸せそうなのです。。人は自分の力が及びようもない大きな自然の美しい光景に出会うとき、とても嬉しい気持ちになります。そして、この虹も、水。雨滴と太陽の仕業です。

地球上には、国境も領海もありますが、水と空気はお構いなしに、自由に動き、巡ります。水の使い方、排水の流し方、シャンプーや石けんの選び方などを調べ、小さい暮らしの工夫をコツコツと重ねていくこと。それが、巡り巡って旅をして、自宅の水道水としてやってきた”水”で、世界を、小さくても手堅く変えていくことにつながります。

そして有り難いことに、自然に優しい物選びは、実は同じ自然である人間の体にとっても、優しいことが多いものです。スーパーなどで見かけなくて最初抵抗を感じても、消耗品など気軽に買えて自分が良さそうに感じるものから、是非使ってみてください。

…いつかあなたの流した水が、巡り巡って、いつかどこかの場所で、飲み水となり、水たまりや虹となり、誰かを笑顔にするのを想いながら。

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「Story about Water」

アースガーデンフリーペーパー vol.39
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