アースガーデンの設立者の一人であり、現役スタッフの田川登美子によるコラムです。

14年目となるNatural High!が、いわゆるフェスティバルの形としては、今年が最後となりました。これを書くだけで、目頭がちょっと熱くなります。来年のことはまだ分かりません。

毎年、道志の森にワープ!

14年前といえば、私の年齢は30代半ばで、子どもたちは10才と3才。キャンプはテントを車に載せる時からバタつきがちですが、小さな子どもがいればなおさらです。お気に入りの人形やおもちゃを忘れないように注意したり、まだ生乾きだけど着替えが心配だからと大量にバッグに詰め込んだり。長靴を家族分玄関から手にぶら下げて車に乗り込んだり。でも私は多分、その10倍か20倍くらい、バタバタしながら、準備をしました。

働くママのあるあるですが、イベント当日3ヶ月くらい前から、なんとか日々の暮らしが崩壊しないように必死でした。自分の許容できる範囲でできる手抜きをしながら家事と仕事に奮闘しました。保育園や学童で最後のお迎えの常連ママ。下町のママ友には「いつも自転車で滑走してる」と笑われていました。

私の中で、そういうバタバタした日常から道志の新緑の中に、心も体もワープしてしまったような気持ちで、毎年Natural High!の設営が始まりました。

当時は、良くも悪くもWi-Fi環境が今より悪く、携帯も繋がりませんでした。道志の森キャンプ場につくと、日々大量の連絡関係に終われていた私が、実際は忙しいのにも関わらず急に人とのやりとりが止まります。そして、パソコンの画面ばかりみていた目に、鮮やかな新緑がどっと飛び込んできます。心も体もまさにNatural High!。「もうすぐお客さんがやってくるんだ!」と、そうして毎年実感したものです。

「今」を体験できるフェスティバル

キャンプはとてもシンプル。その時だけは、みんながミニマリストなれます(最近は豪華な人もいますね)。あるものは、春の山の自然、テントとキャンプグッズ、食べ物、そして、自分たち。だから、普段だったらやり過ごしそうな事にも、心がとまります。

例えば、彼女が意外と力持ちだとか、お父さんの手があったかいだとか、お母さんが虫を手づかみできるとか、3才の我が子がこんなにたくさん歩けるようになったとか、雨だけど気分がいいとか、川の水が想像よりもっと冷たいだとか、夜空が月と星以外は真っ暗だとか。

キャンプをしていると、気持ちがちゃんと「今」にあって、周りにあるものに心が注がれます。そんな当たり前で豊かな時間を過ごすことができるのです。

そんな時、人は自然と優しくなれます。うれしくなります。ところどころにマーケットがあって、個性的なお店の人と話し込んだら意外な共通点があったり、ワークショップで何か作ってみて、「へぇ~~」とか「おいしい!」とかつい感嘆語が多くなる。ステージで目を閉じて体を揺らす。子どもたちは泣いたり笑ったり怒ったりしているから、大人も自由な気持ちになれる。

そんな私たちを、ずっと道志の森の新緑が風に揺れながら見守っていてくれます。水は美しくたっぷりで、プールでくたくたになるまで遊ぶ子どもたちのはしゃぐ声、川のせせらぎ、時に雨音のBGM。

そうして、みんなNatural High!になった。そうして、14年目を迎えます。

みなさん、ありがとう!!!

皆勤賞のお客さんもいるそうで、Natural High!に集まるのを楽しみにしている常連さんたちの深いコミュニティとしての在り方は本当にすばらしいと思います。毎年楽しみにしてくださっていたみなさん、本当にありがとうございます。今年を楽しみきりましょう!

14年の間に関わってくれたスタッフの皆さん。みんなくたくたになりながら、どうしたらもっと良くなるだろう?と考えて、試行錯誤をつづけた年月で、変化のない年なんて1度もありませんでした。支えていただいた、常連のワークショップのみなさんや出店者さんたち。たくさんのボランティアさんたちのがんばりと笑顔!(10周年で生まれてきてくれた山羊も、ありがとう!)

とにもかくにも、Natural High!が始まる前からず~っと私たちと一緒に奮闘してきてくださった、道志の森キャンプ場の池谷さんご一家とスタッフさんたち。本当にありがとうございました!そして、これからもよろしくお願いします!

わたしは、Natural High!のように、出会った人が「今」でいられるような気持ちのいい人になりたいです。そんな願いを胸にNatural High!、今年も道志の森でお待ちしています!