初冬の週末の朝に。11月は「焦がし林檎とかぼちゃのポタージュ」 [連載:Banana Kitchen]

今回のBanana Kitchenは南米ペルー、標高3000mの美しい山岳風景が広がるワラスという町からお届けしています。トレッキングの聖地としても有名な、アンデス山脈の麓に位置するこの町。ふと目をやると6000m級の雄大な山々が連なり、町全体が神秘的で強いパワーに包まれている気がします。

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16世紀までインカ帝国が栄えていたペルー。そんなペルーのアンデス山脈は、世界中で日常的に食べられている作物の原産地なのです。例えば、ジャガイモやとうもろこし、トマト、ピーナッツ。日本でも、甘みのある黄色いジャガイモは「インカのめざめ」という品種で出回ってますね。近年、スーパー雑穀として世界が注目するキヌアや、アマランサス、滋養強壮に効くマカもペルーが原産地です。

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標高4000mの激しい寒暖差、強い紫外線、強い風、少ない酸素という厳しい環境であるからこそ、強い生命力溢れた野菜や植物が育ち、アンデスの自然の恵みと豊かな力を、人々に分け与えているのだなと感じます。

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そんなペルーからお届けする今回主役となるお野菜は、かぼちゃ。ペルーや中南米の高原地帯が原産地のお野菜です。

かぼちゃは大きく西洋かぼちゃと日本かぼちゃに分けられます。西洋かぼちゃは水分が少なく、デンプンが多いため、甘みが多くホクホクした感じに、逆に日本カボチャは、水分が多く甘みが少ないのが特徴です。

普段、日本で食べられているかぼちゃは、実は西洋かぼちゃだとご存知でしょうか?

江戸時代、日本に西洋かぼちゃが伝わり、以降、甘みが強く調理しやすい西洋かぼちゃが主流となりました。海抜4000mの冷涼な高地で栽培されていたため、熱さには弱く、日本では北海道で栽培されるようになったそうです。

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夏の時期に収穫されたかぼちゃは、2〜3ヶ月寝かせることででんぷんが糖質に代わり甘みが増し、秋から冬にかけておいしくなります。かぼちゃにたっぷり含まれるβカロテンは、免疫力を高めて風邪の予防にもピッタリ。血行促進で、冷え性にも効果的、食物繊維が豊富で女性にうれしいお野菜とも言えますね。

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今回はそんなかぼちゃの甘みを活かし、旬のりんごと合わせ濃厚なポタージュにしてみました。水またはベジブロスで作ることで、かぼちゃの濃さがしっかり感じられます。

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焦がし林檎とかぼちゃのポタージュ

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材料(2〜3人分)

かぼちゃ 500g
りんご 1/2個
玉ねぎ 中1/2個
にんにく 1かけ
バター 10g
お好みのミルク(牛乳、豆乳、アーモンドミルク)150cc前後
生クリーム 50cc前後(お好みで)
天然塩 少々
胡椒 適宜
ローリエ 1枚
生タイム 1枝(お好みで)
シナモンスティック ひとかけら(お好みで)

作り方

1) にんにく、たまねぎ、りんごは皮をむいて薄切りにし、かぼちゃは種を取り、皮を削ぎ落とし薄切りにする。
2) 【ベジブロスを作る】鍋に1)の野菜の切れ端(たまねぎの皮・にんにくの皮・りんごの皮、かぼちゃのワタと種、あれば余り野菜)と1リットルの水を入れ、30分ほど弱火で煮込み、ザルでこす。
3) 2)と同時並行で、別鍋にバターを熱して溶かし、にんにくを入れ香りがたったら、りんごを加え香ばしく焦げ目が付くまで炒める。さらに玉ねぎを加えて、天然塩ひとつまみ(分量外)を入れて水気を引き出しながら、中火で甘みが出るまでじっくり炒める。さらにカボチャを加えて天然塩少々(分量外)で炒める。
4) 2)のベジブロス(分量外)をひたひたになるくらいまで注ぎ込み、ローリエ、タイム、シナモンスティックを加え、20分ほど煮込む。
5) ローリエ、タイム、シナモンスティックを取り出し、ミキサーでなめらかになるまで撹拌する。
6) 鍋に戻し火にかけ、お好みのミルクと濃厚にしたければ生クリームを加え、煮立つ直前まで温め、味を見て塩、胡椒をする。器に注ぎ、好みのトッピング(生クリーム、黒胡椒、ハーブやローストしたナッツ)で飾る。

* 林檎をキャラメリゼ(表面に香ばしい焼き色をしっかりとつける)すると、コクが増し、深い味わいになります。
* かぼちゃと一緒にさつまいもを合わせても◎。その場合計500gになるように調整してください。
* 生クリームはなくても十分おいしいポタージュになります。
* パルミジャーノレッジャーノやブルーチーズなどのチーズをトッピングするのもおすすめ。
* 滑らかな舌触りにするのなら、ミキサーにかけたあと裏ごしをしてください。

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いま日本の食卓に並ぶ、カボチャやジャガイモ、トマトは遥か遠い昔、ペルーから世界に広がり伝わって来ました。そう思うと、世界はひとつなんだなと感じます。

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りんごの甘みと酸味がプラスされた甘いだけじゃないかぼちゃのポタージュ。
やさしい味と温かさがじんわりと体にしみ込む一品になりました。

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冬の訪れを感じるような寒い朝にいかかですか?

今日もいのちに感謝して。
いただきます。

[Banana Kitchen] 連載記事

胃にやさしいぽかぽかごはん。1月は「ほうれん草のリゾット」【最終号】
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12月はクリスマスを愉しむ「たっぷりネギとたまねぎのタルト」
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初冬の週末の朝に。11月は「焦がし林檎とかぼちゃのポタージュ」
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10月は、秋の夜長に似合うおつまみ「ゴルゴンゾーラのさつまいももち」
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9月は 「蕎麦粉のガレット」
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8月は「ローストトマトと桃の冷製スープ」
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7月は「たっぷり夏野菜のマリネ」
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6月は「アボカドのディップ(グアカモレ)」
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5月は「ひよこ豆のディップ(フムス)」
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4月は「ローズマリーとガーリックのかりかりベビーポテト」
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3月は「春アスパラとキヌアのホットサラダ」
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2月は「にんじんとオレンジのジンジャースープ」
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From LONDON オーガニックなレシピとライフスタイル「Banana Kitchen」
毎月10日更新
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