【FROM YWCA】基地に囲まれた沖縄-うちなんちゅの想い-

世界事務局をジュネーブにおく国際NGO、YWCA (Young Women’s Christian Association) から、沖縄の基地をめぐる思いが届きました。沖縄からの声に耳を傾けてみましょう。

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透き通る青い海に、広い空、目が覚めるような色とりどりの花々と、温かくて陽気な人びと、そしてチャンプルーやラフテーなどの名物料理。多くの方が抱く沖縄のイメージは、のんびりとした時間が流れる亜熱帯の平和な島というところでしょうか?

でも、もし、優しいおばあが笑顔の裏でつぶされそうになっていたら?最近、沖縄県在住20歳の女性が元海兵隊員に強姦・殺害されたニュースが報道されました。「あぁ、またか…」とうずまく怒りと悲しみ。

沖縄には、日本全体にある米軍基地の74%が集中していると言われています。多くの「本土」に住む者たちが遠い理想郷のようなイメージを抱く沖縄を、本当は埋めつくすように駐在する軍事基地。女性の人権や平和の問題に取り組むNGO、YWCA(Young Women’s Christian Association)の沖縄に住むメンバーに、率直に、基地をめぐる問題について聞きました。

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「反対運動は外から来た人がやってること」「外から来た人は口を出すべきじゃない」…そんな言葉がネット上で飛び交っている。本当にそうでしょうか?

「基地がなくなったら沖縄は困るんじゃないの?」、これは沖縄に住む私がよく聞かれる質問です。「沖縄県の領土全体の74%を占める基地の経済効果は、沖縄県経済のたった5.1%。これが商業施設ならあまりにも効率が悪い。その上、犯罪・事故・爆音のオマケ付き。基地を返還し、その跡地を開発した場合、経済効果は軍用所得時の約32倍になる。」こんな答えを暗記してしまえるほど、よくある質問です。あまりにも頻繁に聞かれるので、聞く人は何も学んでいないか、沖縄が基地を欲しがっているという答えを期待しているか、どちらかではないだろうか、などという疑念が頭をよぎるほどです。

「本土」に住む人が大手メディアから得られる情報だけで、沖縄を理解することは困難だと感じています。昨年度、日本中を賑わせた安保の問題。「本土」に住む人の多くが「国を守るため」安保は必要だと回答しておきながら、安保があるがために沖縄に駐留する海兵隊が起こした事件への関心は低く、連日東京都知事の話題で持ちきり。そんな時に生じる強い違和感。基地が存在することによる暴力に加え、「無関心」という第2の暴力が振るわれているからです。「本土」の望みが「沖縄の犠牲の上に立つ平和」なら、沖縄は「誰の犠牲も伴わない真の平和」を強く望んでいるんです。

時折感じる沖縄の人から「本土」の人への警戒心は、基地反対運動に関わっているかどうかに関係なく、日本の「本土」による沖縄支配の歴史や、そのことへの認識不足に対する不信感と密接な関係にあります。

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沖縄で起こり続ける事件や事故は、いったい誰が引き起こしたのでしょう。琉球処分によって日本の植民地支配を受け、日本とアメリカが結んだ安保によって基地を背負わされた現状は、いうまでもなく、歴史的に日本が起こした事実です。その歴史を知らないことも、当事者であることに思いが至らないことも、知っていて逃げることも許されないでしょう。基地に囲まれて生きる沖縄の人びとの声を、加害の当事者として受けとめてほしい…これが私たちの想いです。

YWCAとは

YWCA (Young Women’s Christian Association) は、世界事務局をジュネーブにおく国際NGOで、国連の諮問機関です。1855年に英国で始まり、現在世界120あまりの国で、約2500万人の女性たちが活動しています。日本においては1905年の設立以来、100年以上にわたって、女性の社会参画を進め、人権や健康や環境が守られる平和な世界を実現するために、さまざまな社会貢献活動を展開しています。