【コラム】セネガルにて出前クッキング!? サツマイモ編

こんにちは。青年海外協力隊員として、西アフリカ・セネガル共和国の北部に位置する地方都市・ルーガ県ルーガ市で活動させていただいている、山口織枝と申します。今回は、活動について書かせていただきます。

13382100_10209161615625167_1788282362_n-3

セネガルで出前クッキング!?

私は、WFP(World Food Programme=世界食糧計画、旧宗主国の言語であるフランス語でPAM: Programme Alimentaire Mondial)という国連機関の行う、学校給食活動を支援する要請として、派遣されています。

私の任地であるルーガ県ルーガ市の、市内と市外をあわせると、計11校が現在そのプロジェクトの対象校となっている状況です。対象となっている学校を訪れる中で、具体的に、どのように活動を形づくっていくべきか、率直に言うと、(現在進行形でもありますが、、、)長い間、頭を抱えていました。

給食に関連することで、給食づくりを無償で担ってくれている女性たち、給食を食べている子どもたち、学校の先生たち、それぞれの人たちに何かほんの少しでも気づきや新しい視点を持ってもらい、なおかつ負担にならず、楽しんでもらいながら出来ることはないだろうか、と。

13401034_10209161640505789_294133727_n-1

様々な考えを巡らせた末に、私は、セネガルで身近に手に入る食材を使い、調理法の多様性を図る意味も込めて、セネガルの人たちにとっては新しい、でもあまり複雑ではない調理法によって、その食材の栄養について伝える、という、言わば、「出前クッキング」のような活動を、行ってみようと考えました。

さつまいものレモン煮をつくってみた

セネガルでは、町や村にあるマルシェ(市場)で野菜や魚などの食材が売られています。その町や村の規模によって、マルシェの規模も異なっており、割と大きなマルシェがある町もあれば、週に一度など決まったときに、ルーマと呼ばれる移動市が開かれる所もあります。また、マルシェが無い所では、近隣の村や町にあるマルシェまで出掛けて行って、必要なものを買い出したりしている場合もあります。

私の任地であるルーガ市では、町の中心部でマルシェが開かれています。現在のセネガルで多くの人たちに食されている「チェブ・ジェン(魚ご飯を意味するセネガルの料理。油と水、コンソメや玉ねぎやトマトペーストと共に煮たご飯に、煮込んだ野菜や魚を付け合わせて食す。)」の具材には、よく、人参やキャベツなどの野菜が盛られていますが、その中には「パタース」と呼ばれるサツマイモもあります。この活動を思い立った際に、野菜を使ってシンプルな具材で出来る料理を色々と調べる中で、サツマイモを使った簡単な料理を見つけたので、これを試してみようと思いました。

13407403_10209161624025377_1712612282_n-4

Farmer’s KEIKO 農家の台所」(Farmer’s KEIKO著、主婦と生活社、2012年、Kindle版)という書籍に掲載されていた、「さつまいものレモン煮」(P.90)というレシピです。これをもとに、セネガルのパタースとレモンで作ってみました。(以下、参考としてレシピを引用させていただきます。)

さつまいものレモン煮

材料(4人分)
さつまいも(1cm厚さの輪切り)…300g
砂糖…大さじ3
レモン(半月切り)…1/2個

作り方
1 さつまいもは水に3分ほどさらす。
2 鍋に1のさつまいも、ひたひたの水、砂糖を入れ、弱めの中火で煮る。竹串が通るくらいになったらレモンを加えて3分煮る。

「パタース美味しかったよ。」

本当に、シンプルな材料、シンプルな作り方で出来るため、セネガルの人たち自身がセネガルにある食材とその栄養に注目してもらうきっかけとして良いのではないか、と思いました。実際に作ってみて、セネガルのサツマイモであるパタースは、甘くて美味しく、レモンの風味も加わると爽やかな感じもする気がしました。

栄養については、パタースは芋類なので三大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質)のうち消化吸収後にすぐにエネルギーに変わる炭水化物であり、便秘解消によく、ビタミンCが豊富であること、ビタミンCは風邪や感染症予防に効果的であること等を説明しました。

13392957_10209161606824947_1466621784_n-2

給食プロジェクトの対象校のひとつである学校の授業内で、同じルーガ市内で野菜栽培隊員として活動中の先輩隊員・高野夏実さんと、学校の生徒や給食づくりを担っている女性に参加してもらいながら調理実習をさせてもらい、栄養説明と、出来上がったレモン煮を生徒にも食べてもらいました。

生徒はあっという間に食べ終わり、給食づくりを担っている女性は、家でも作る、と言ってくれました。セネガルの人たちは人懐っこく優しい人が多いので、そう言ってくれている、ということも実際には考えられるのですが…。

13400910_10209161616825197_542596979_n-6

この活動は給食プロジェクト対象校のうち2つの学校でやらせていただいたのですが、その後訪れると、「パタース美味しかったよ。」「パタースはもう満足よ。」等々(笑)、様々なコメントを生徒や先生がしてくれます。私の栄養説明のとても拙いフランス語が、分かりにくい点も多々あるだろうと思うのですが、そんな風に様々な反応を寄せてくれること自体が、有り難いことだと思います。

13401111_10209161625105404_1414204596_n-5

この活動の中で、先生がわざわざレシピを黒板にチョークで書いてくれたりしましたし、手伝ってくれる生徒を募ると、すぐに何人かが進み出てくれたりしました。活動には悩みがつきものであるのも事実ですが、今後も悩みながらも、なるべくセネガルの人たちと一緒に、巻き込み巻き込まれながら(?)、何かが出来たら良いなと思っています。

引用文献:「Farmer’s KEIKO 農家の台所」(Farmer’s KEIKO著、主婦と生活社、2012年、Kindle版)
活動及び写真撮影協力:セネガル・平成26年度3次隊・ルーガ市・野菜栽培隊員・高野夏実さん