全国のご当地電力を3年間取材して高橋真樹さんが書いた本「ご当地電力はじめました!」

いつも自然エネルギーや市民電力を分かりやすく読みやすくまとめてくれる高橋真樹さん。新著の『ご当地電力はじめました!』(岩波ジュニア新書)もとってもわかりやすいです。取材期間3年を経て完成したこの本では、全国の先進的な取り組みはもちろん、省エネ住宅や今後の電力自由化などについても幅広くまとめられています。

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電気や熱などのエネルギーを、ひとり一人が参加してつくってしまおう!3・11の震災をきっかけに、そんな動きが全国ではじまっています。いわゆる「ご当地電力」と呼ばれるこうした取り組みは、国や電力会社に頼りきり、遠い存在になっていたエネルギーを、自分たちの身近な存在にとりもどそうとするチャレンジです。

実は、ドイツや北欧などエネルギーシフトを実現した国々では、こうした地域主体の取り組みが、国のカタチを変えていきました。日本でもいよいよ、自然エネルギーによる個性豊かなまちづくりがはじまったのです。全国のご当地電力の奮闘をリポートしながら、エネルギーと私たちとの関係がどう変わっていくのか?について伝えられています。

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もくじはこんなかんじ

とてもやさしい言葉選びですね。これなら子どもでも読みやそうです。

1章−エネルギーを身近な存在にとりもどすために
2章−エネルギーをめぐるさまざまな誤解を解きほぐす
3章−「コミュニティパワー」が国を動かした
4章−変わる福島、自然エネルギーの挑戦
5章−全国にひろがるご当地電力
6章−電力自由化と発送電分離がやってくる!
7章−ひとり一人にできることは何?
おまけ−エネルギーを賢く使うためにあなたができる15のこと

電力とコミュニティを同時に作る楽しさと大変さ

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本の中にはたくさんの良い事例が載っていますが、宝塚の事例に関しては、うまくいかなかったエピソードが載っています。行政と市民団体がお互いの立場を理解できず、最悪の第一印象を迎えるところから始まります。そこで終わったらただの残念な話ですが、そこからお互いの歩み寄り、話し会う場や、協働する場が生まれて、いい結果が生まれました。ここで分かるのは、ご当地電力はただエネルギーを作るということではなく、コミュニティづくり、地域づくりでもあるということです。多くの人の目線がローカルや地域に向いている今、とても興味深いですね。

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全国のご当地電力やエネルギーへの取り組みが掲載されています

藤野電力(神奈川県相模原市)/ほうとくエネルギー(神奈川県小田原市)/北海道グリーンファンド&市民風力発電(北海道)/おひさま進歩エネルギー&飯田市(長野県飯田市)/えこえね南相馬研究機構(福島県南相馬市)/いわきおてんとSUN企業組合(福島県いわき市)/会津電力&会津自然エネルギー機構(福島県会津地方)/宝塚すみれ発電&宝塚市新エネルギー推進課(兵庫県宝塚市)/地域再生寄稿&石徹白農業用水農業協同組合(岐阜県郡上市石徹白地区)/多摩電力&多摩循環型エネルギー協議会(東京都多摩市)/上田市民エネルギー(長野県上田市)/徳島地域エネルギー(徳島県徳島市)/全国ご当地エネルギー協会/生活クラブ生協の風車「夢風」(秋田県にかほ市)/山形県立村山産業高校の太陽光プロジェクト/THE SOLAR BUDOKKAN/ミドルグルンデン洋上風力発電所&サムソ島(デンマーク)/ヘップバーン・ウィンド(オーストラリア)ほか

高橋真樹ってどんな人?

平和協同ジャーナリスト基金奨励賞受賞。放送大学非常勤講師。「持続可能な社会」をテーマに、世界各地、日本全国を取材し発信を続けている。著書に『自然エネルギー革命をはじめよう−地域でつくるみんなの電力』『親子でつくる自然エネルギー工作(4巻シリーズ)』『観光コースでないハワイ』など多数。東京新聞で『キラリ!ご当地電力』などの連載を執筆。また、ウェブサイト「全国ご当地エネルギーリポート!」では、各地のエネルギーシフトの最新の取り組みを伝えている。

『ご当地電力はじめました!』(岩波ジュニア新書)

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著者:高橋真樹(ノンフィクションライター)
新書:224ページ
出版社:岩波書店 (2015/1/21)

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