日本のソーラーの先頭にたつ伊藤淳が語る「太陽光は地域分散できる!」

太陽光発電業界の普及広報役は、フェス黎明期を共に走った、アースガーデンの懐かしい友人でした。

3.11のあといろんなことひっくり返った日本で、
脱原発に向かうカギとなる新しいエネルギー。

「まさにこれから本番」だという太陽光発電に取り組むフェローテックの伊藤さんが語る日本のめざすべき発電とは。

日本のソーラーの伝統にたつ彼の話は超刺激的です!!


 

 

フェローテックは、ソーラーパネルの原料となるシリコンやその製造機械を供給する会社。そこで活躍する彼は、かつての伝説のフェス「武尊祭」を創ったあの人でした。今や、日本のソーラーの先頭に立つ彼の話は、 超刺激的です!

株式会社フェローテック 広報担当 伊藤淳さん

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ほんの数年前まで日本のソーラー技術は、世界一って言っていたのに、いつのまにか遅れちゃってるって。でも実は今でも日本の太陽光発電技術、“変換”効率では世界のトップ。ただ今は“生産”効率の時代になったんだよね。生産効率を上げて、たくさん作ってコストも低くする。半導体とか液晶と同じような現象が起きて、とにかく生産コストを抑えて大量生産し、大きな発電量を確保するのが今の世界のトレンド。

だから緻密な日本の技術より、逆に少し大ざっぱな中国のほうが強いということになっていて。ドイツは世界で太陽電池が最も普及している国なんだけど、原材料や製造装置も世界のトップクラス。ドイツは中国に原材料や、製造装置、消耗品等を大量に輸出して、中国の安い労働力を生かしてどんどん製造拡大している。

そして、それをさらにEUに逆輸入。ドイツのパネルメーカーは中国製パネルのコスト競争力に負けて苦境に立たされているんだけど、国としてはしたたかにやってるよね。そうやって中国も、EUのソーラー市場の拡大と一緒に成長できて活性化してる。これまで中国がブランド製品でトップシェアをとれているものってなかったから、中国もココはと頑張った。

石油は中東、原発は先進国、中国はソーラーでエネルギーのメジャーになろうと、国家政策としてとりくんでいる。日本で買取価格が42円で決まったけど、中国は13円。でも、日照時間が日本の2倍から3倍あるから、十分に採算がとれるんですよ。でも、それに負けてる場合じゃないでしょう、日本は。だから、僕も動き出していて。3.11はいい意味でのきっかけだった。

こんなにソーラーパネルが安くなっているって、みんな気づいたのも311があったからこそ。そして、パネルは十分安くなってる。次は場所をどうする?設置費用をどうする?と。例えば日本には山ほどゴルフ場があって休業も多い。じゃあそこでメガソーラーをやろう。ところが送電線が問題。基本的に昼間の営業しか無いから、大きな送電線がなくて、送電線を設置しようとすると簡単に一億円かかってしまう。

でも、だから無理じゃなくて場所にあった方法論を模索し続けなければいけない。日本だと、システムも人の感覚もまだまだ中央依存の体質が抜けてない。今のままのソーラーの広がり方だと原発と変わらないかも。電力会社を誘致して、大規模な太陽光発電をやってもらう。それじゃ、太陽光の良さを生かしきれない。太陽光は地域分散できるのが特徴だから。自分たちで発電所を作ればいいんだよ。そして、そのやり方が今まさに課題になっている社会の構造を変えていくことになる。

でも一方で、政府、大企業が一致団結して、原発を守ろうとしている。例えば、ウランの採掘権を得るために今までいくらつかったのか?その採掘権はそのまま資産だから、脱原発になれば無駄になってとんでもない損害になる。だから、段階的に減らしていこうとしている。利益を出して守るのが資本主義だからね。

今やっと日本でも、まだまだ一部の人たちだけど、太陽光発電がメジャーなエネルギー源になるってことに気づき始めたところで。今までは生産規模が小さかった。日本メーカーの生産キャパシティも年間数百メガワット。でも原発は一基で1ギガワットだから、ぜんぜん及ばない。でも、中国なんかある一社で5ギガワット、とか言い出す。世界的にすごい勢いで生産性があがっているんです。

だいたい中国は石炭が豊富で製造時の電気代も安い。結果、どんどんコストが下がって、ドイツ、スペイン、イタリアでは、太陽光発電の発電コストが既存の電力の売電価格とすでにおんなじ。だから“、脱原発”と意気込まなくても、原発は別に必要ないって状況で、EUが脱原発になるのも、もう必然。

311があって色んなことがひっくり返った日本、太陽光発電はまさにこれから本番なんですよ。頑張ってます!

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株式会社フェローテック http://www.ferrotec.co.jp/

聞き手:南兵衛@鈴木幸一 構成/写真:葛原信太郎