8月11日。石巻でのボランティア活動中に、震災からちょうど5ヶ月の時間を過ごした。なかなか言葉にするのが難しい感情があふれていて。。。そんな中、気分転換にと見た「おと・な・り」という映画。古いアパートに隣同士で住む二人。顔は見たことないけど、おとなりから聞こえてくる様々な音でなんとなくお互いの生活がわかっている。という微妙な距離感の二人の映画。見終わったあと、自分の頭の中でスッと東北のことと結びついた。
おと・な・りと 東北と 秋の風
二度目の石巻へのボランティア、そして初めて訪れた陸前高田から帰ってきて2週間ほど。様々な感情を抱いたまま、なかなか言葉にできなかった。
気分転換にほんわかした邦画が見たくなって地元のTSUTAYAに出向いた日曜の午後。ずらっと並ぶDVDからなんとなく目についた「おと・な・り」という映画を借りた。雨が降り、ぐっと気温が低くなり、もう少し経てば秋になるんだなと感じた日だったから、表紙に写る二人の服が秋っぽさにすごく惹かれた。
古いアパートに隣同士で住む二人。顔は見たことないけど、おとなりから聞こえてくる様々な音でなんとなくお互いの生活がわかっている。という微妙な距離感の二人の映画。(最後に素敵なオチがあるのだけど、それは言わないでおきます。)
見終わったあと、自分の頭の中でスッと東北のことと結びついた。
聡(岡田准一)と七緒(麻生久美子)は、顔は合わせたことはないけれど、同じアパートのおとなり同士。おとなりからは、除湿機の水がなくなったアラーム音、珈琲の豆を挽く音、ハナウタ、涙を必死にこらえる声など様々な音が聞こえてくる。壁一つ挟んだ向こう側にいる存在に心がほっとしたり、逆にすこし悲しくなったりする。
僕には石巻や陸前高田に住む友達はいない。親戚もいない。地震がなければ、一生訪れることがなかったかもしれない土地だ。でも、縁もゆかりもないかと言えば、そうでもない。仙台出身の友人は石巻で生まれていたし、いつもキミドリで食べいたきゅうりの一本漬けは陸前高田の八木澤商店さんのものだった。
「六次の隔たり」という言葉をご存知だろうか?人は自分の知り合いを6人以上介すと世界中の人々と間接的な知り合いになれるという仮説のことだ。東北で被災している人たちは直接的には関係なくても、友だちの友達かも知れない。
そんな想像力を持って生活を振り返れば、東北と自分のつながりって意外とあるものだ。
顔も、名前も、年も、職業も知らないけれど、「おと」が聡と七緒をつないだ。「おと」だけですごくお互いの存在が気になって、ちょっと嫉妬したり、思いやったりできる。
ちょっとしたキッカケを見つければ、もっと東北の人たちに寄り添うことができるのではないだろうか。震災から5ヶ月が経ち、少しづつ秋の気配も感じる今、もう一度、振り返ってみてほしい。