佐藤”kuma-chang”慶吾 & Comugiが語る “音楽に執着しないミュージシャンの新しい生き方”

山梨にあるパン屋「チェチェメニ」。天然酵母だが硬すぎず、優しい味のする無骨なパンは、作り手であるkumaの人柄がよく表れています。佐藤”kuma-chang”慶吾&Comugi夫妻は、東日本大震災のあとに山梨に移住しました。音楽活動を続けながら、1年半ほど前にオープンさせたお店に伺って、お話を聞いてきました。

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Kuma「パンを好きな人は遠くからでもこだわりのパンを取り寄せて食べる。それでパン屋をやろうと思った。カフェもいいけど、あれはお客さんを待つ商売。パンはこっちから送れるし、今食べなくてもおいしい。だから、出店でもパンはよく売れるんです。おなかいっぱいでもパンは明日の朝のために買うから。」

Kumaはサポートミュージシャン。レベッカのNOKKOさんやキマグレンなど、メジャーミュージシャンのパーカッションも担当すれば、アースガーデンや小さなカフェでのライブなどもこなします。

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Kuma「実家が飲食店で、俺も24歳までは料理人だったから。若い頃はフレンチを作っていたんです。音楽で食えない時も飲食のバイトをしていたし、飲食は音楽と同じくらい僕のアイデンティのひとつ。だから、地震の前から田舎に行くことを見越して、音楽の仕事をセーブして、鎌倉のパン屋さんで修行していたんです。そうしたら、地震が来た。そのころは東京を離れて湘南に住んで、畑をやったり自然に沿った暮らしを目指して生活してたけど、震災直後の経験から都会の暮らし方に疑問を感じて、自分達はここじゃない、すぐにでも移住しようとなって現在に至ります。」

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今でこそ、天然酵母にこだわって作っていますが、昔は硬くてシンプルな天然酵母のパンのおいしさがわからなかったと言います。それを気づかせてくれたのは、奥さんのComugiです。彼女は、さまざまな肩書を持っていて、アースガーデンではシンガー、Natural High!では朝ヨガの講師、Peace On EarthではステージMCと、いろいろお世話になっています(笑)

Comugi「もともと美大出身で絵の勉強をしていたんだけど、音楽が楽しくて。ジャズ研に入って、ボイストレーニングとかし始めていたら、プロのジャズミュージシャンのバンドにコーラスで入ることになったんです。最初からちゃんとお金をもらって音楽をやらせてもらったの。それで、卒業後も音楽で食べて行こうと思って、当時友達が働いていたクラブでソロでトラックかけてオリジナル曲を歌ったりして。今と違って、夜、タバコ、酒、みたいな世界の中で歌ってた。アルバイトしながら、オーディションとかも受けていたけど、最後まで残るのに最終選考で落ちちゃうみたいなことが続いて、自信もなくなるし、謎の湿疹が出たり。体調を悪くしちゃったからヨガをはじめて。ステージMCも、学生の頃から興味があった環境問題のことを仕事にしようと、アースデイ東京の事務局スタッフをやった流れでMCをやったらとりあえず形になってという感じで。」

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2人に肩書を聞くと”まずは、ミュージシャン”だと言います。でも、話を伺っているのは天然酵母のパン屋さん。さらに、オーガニックなジャムや調味料、世界中から集められた雑貨や、楽器まで置いてある。

Kuma「ちょっと前の価値観だと、ひとつ決めたらそれをずっとやる、みたいなことが美学とされていたけど、それはその時代のものだと思うんです。今はもっといろんなやり方があっていいと思うし、一つのことに執着すると何か大きな問題にぶつかった時に、這い上がれなかったりする。」

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Comugi「私もそれぞれの肩書が全く別のことのように見えるけど、全部つながってて。まずは自分の力を生かしきって、人間としてステキな人になりたいの一番かな。だから、もっといろいろやりたいことがあるんです。例えば、絵本を描いてみるとか。ただ、音楽は、一番長く続けている自己表現だから、肩書はミュージシャンというのが一番しっくりくるかな。」

こうやって話を聞くと、二人の生き方が「チェチェメニ」の店作りにも反映されているように思います。パン屋さんだけど、パン屋さんだけじゃない。パン屋に執着せず、いいものを置いていくというような。

 

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Kuma「自分の力で手に入れた音楽とパン、その2つを天秤にかけるということ自体がそもそも必要ない のかなって思うんです。それよりも好きな事は一生懸命やって両方を活かす道を探したほうがいい。誰かに相談すると、それは無理でしょって話になるけど、そもそもやったことない人に無理って言われても説得力ないし。とにかくやってみないと、だめなんじゃないかな。実際やってみると、音楽もパンもそれぞれ比重は減るけど、自分がやりたいことはちゃんとやれているし、逆にいいさじ加減だと思う。この間、厚木にあるオーガニックカフェ 晴れ屋でライブをしたんだけど、ディナープレートに自分がつくるパンを出して、奥さんと一緒にライブをして、それをうちの子どもやお客さんが見ていて、ギャラももらって山梨に帰る。これってもはや完璧に近いんじゃないかなって。」

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想像するだけで、幸せな気持ちが溢れてくるその空間は、きっと二人にしか作れない唯一のもの。それは二人の強みであり、他の人には作れない価値です。さて、ここまで読んだあなたはきっと「チェチェメニ」のパンが食べたくなっているでしょう。山梨のお店にはもちろん行ってほしいですが、毎週火曜日に東京の御茶ノ水にオーガニックショップGAIAで出張出店しているとのこと。ぜひ遊びに行ってみてくださいね。

earth garden “秋” 2015

メインステージにComugi出演

10月25日(日)のメインステージにComugiの出演が決定!
http://www.earth-garden.jp/event/eg-2015-autumn

チェチェメニのクッキーやスコーンが食べれる

earth garden “秋” 2015では、チェチェメニとトシュカがコラボ。トシュカのブースで、チェチェメニのクッキーやスコーンが食べれる