私たちは、麻の服係だから。日本で織られた麻の生地で作られる「忠兵衛」

re_main日本で丁寧に織られた麻の生地で作られる「忠兵衛」の服。その独特のデザインは、縄文時代からインスパイアされている。食も家も自分たちでDIYしながら、人間が生きる基本を大切にモノづくりしています。デザイナーの金子さんに話し聞きました。

Made in Japanの麻の服係だから

日本で織られた生地は触ってすぐにそれと分かる。丁寧に作られたMade in Japanの生地は、縄文時代にインスパイアされたデザインと合わさり私たちの手元に届く。

金子「現在、ヘンプの原料が日本産というのは、ほとんど存在していません。私たちが使っている生地は、イタリア産を中心に海外で生産されたヘンプを材料にして、日本で織ったものです。

生地の製造は国内の信用できる静岡の工場にお願いをしています。また、住んでいる場所から山を一つ越えた隣の町にある工場で縫製をしています。昔は国内の縫製工場にも需要があったはずですが、海外にどんどん仕事が流れてしまって、工場の数が激減している。

私たちが仕事をお願いすることで少しでも工場が続けられるようになればいいなと思っています。良い循環を生み出す、国内のフェアトレードのように。」

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金子「日本の生地は触った瞬間にわかります。いいなと感じる。それは日本の職人さんの技術ゆえだと思います。ヘンプ100%の生地を作ってくれる事自体、なかなかないことです。加工も難しいですから。この糸を使ってどうやって生地を作ろうか、とても熱心に考えてくれる。

海外で作ることを否定するわけではないですが、顔と顔をつきあわせて仕事ができるという形が、私たちは好きなんです。」

日本製の麻の生地で作る服。とにかく着心地が良い。デザインとして目指しているのは、和服でもなくエスニックでもない。直線を活かした縄文時代の服をイメージしてデザインしているそうだ。

地域や文化の特色が出る以前のデザイン。人間が服を着だした頃、四角い布をどう無駄なく使うか、動きやすく、機能的か。プリミティブな中にも芸術性の高さがある。

また、数少ない日本で育った麻を使った麻布も作っている。こちらは主に福島の昭和村で「からむし織」を学んだ奥様の担当。麻にこだわるのは、環境的な側面はもちろん、日本古来の伝統技術を受け継ぎ伝えていくためでもある。

衣食住、全部自分たちで作りたい

心に印象的に残る「忠兵衛」という屋号は、新潟の佐渡出身のひいおじいさんの実家の商売、提灯屋さんの屋号からもらったそうだ。デザイナーご本人の苗字は金子さんだけど、最近はもっぱら忠兵衛さんと呼ばれている。

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金子「みんなが楽しく幸せに生きていくために必要な係の中で私たちは「麻の服係」だと思っているんです。『誰よりも斬新なデザインを発信したい!』という欲求はあまりない。一人一人の役割分担を活かしたライフスタイルの中で、私たちが「麻の服係」なんです。

学校を卒業してずっと化粧品会社のプロダクトデザイナーでした。化粧品会社には、会社ごとに容器とかパッケージを作る商品デザインの部署があるんです。僕は学校を卒業してからずっと同じメーカーにいました。

それはそれで面白かったんですけど、大量生産大量消費の世界ですから。100万個も200万個も作って次のシーズンにはモデルチェンジしてしまう。もっと違う生き方をしたいと思いまして。」

今後の目標は家を作ること。衣食住を自分たちで作りたいとずっと考えていたそうだ。衣からスタートして軌道に乗ってきて、山梨県の道志村に引っ越して農業を始めて、自分たちが食べる野菜はどうにかなってきた。次は、自分たちで家を建てたいという。

人間が生きていくための基本を大切に、これからも忠兵衛のモノづくりは丁寧に続いていく。

hempの服 – 忠兵衛 HP
http://hemp-chubei.jimdo.com/