コスタリカから日本へ、ありがとう【震災への支援がラテンアメリカから】小さな国の奇跡のような1日、1万人から4万ドルの義援金が

コスタリカで、東北地方太平洋沖地震災害チャリティーイベントが「Dia Arigato:Ticos por Japon」と題し開催されたのは、現地時間の3月20日(日)。
会場となったのは、首都サンホセにある文化青年省内の国立文化センターCENAC。開場と同時に多くのコスタリカ人が詰め掛け、公道には入場待ちの長蛇の列。人口400万人の小国で急遽開催されたチャリティーで1万人以上が参加という、もの凄いパワーと熱気に包まれたまま、あっという間に1日が過ぎていった。

私がこのイベントについて耳にしたのは、知人からの1本の電話だった。
「在コスタリカ日本大使館が中心になって、チャリティーイベントを開催するらしい。開催は5日後の日曜日。出店することになったので、一緒にやらないか。」
何かできることはないのだろうか?と悶々とした日々を送っていた友人たちと私は、是非協力しよう!と即決した。
開催2日前の金曜日、ちょうど用事があったので、友人たちと大使館に立ち寄り、
何か他にも協力できそうなことはありませんか?と尋ねてみるも、
なんせ全てが急に決まった話で、当日の運営もどういった形になるのか
とにかく私たちは当日向かいますので、日本人らしく、空気読んで、やれることを
みんなで力合わせてやりましょう!と言い残し、大使館を後にした。

当日の朝、スーパーで買出しを済ませ、近所のホテルが無償で提供してくれた氷を
クーラーボックスに詰め込んで、いざ会場入り。
まず驚いたのが、開催1週間を切ってからの呼びかけだったにも関わらず、
日本人会や日本人学校PTA始め、日系企業、日本食レストラン、JICA、日本友好団体、
多種多様な立場の日本人とコスタリカ人たちが、少しでも多くの義援金を届けようと
一堂に会し、慌しく設営作業に追われていたこと。

バタバタと準備する中、気付けばどんどん人が集まって来て、あっという間に
会場は歩くのも大変な程の鮨詰め状態に。
ステージでは、日本人学校の子供たちやコスタリカ人アーティストたちによる
ライブパフォーマンスが行われ、常満員。
会場内では、日本食や手作りお菓子などの飲食販売、折り紙教室や折り紙で作った
アクセサリー販売、筆で半紙に漢字で名前を書くサービス、チャリティーグッズの
販売、寄せ書きなどが行われ、それぞれができることを持ち寄り、手作り感のある、
素敵な場が出来上がっていった。

昼前から会場の外には長蛇の列が出来はじめ、常に250名前後のコスタリカ人たちが
公道に列を作って入場を待つ時間帯もあった程。
確かに会場内も人でごった返していたのだが、まだスペース的には余裕がある。
なぜもう少し入場がスムーズにできないのだろうかとエントランスを見に行くと、
そこには律儀に、入口にいたコスタリカ赤十字スタッフに募金を託していく
コスタリカ人たちの姿があった。
そうか、みんなが募金をしてから中に入ろうとするから、こんなに行列になるのか。

マスコミの注目度も高く、多くのテレビクルーや新聞記者たちが、あちこち
出店者や来場者に取材している姿を見かけた
こちらの人たちは相手への気持ちをストレートに伝えるものなので、本当に心温まる
直球のメッセージの数々に、脇で聞いていて目頭が熱くなった。

お釣りを笑顔で「いらないよ」と置いていってくれた人、募金を申し出てくれた人、
日本語で応援の言葉をかけてくれた人、噂を聞きつけて手伝いに来てくれた人。
とにかくたくさんの出会いと、たくさんの想いに触れた1日だった。

地震発生直後から、多くの団体・個人から何かできることはないだろうかと
大使館宛に数百件にも上る申し出と問い合わせが来ていたらしい。
今回の開催が急遽決定した際にも、コスタリカ政府、マスメディア、民間企業、
日本友好団体、そして多くの個人から「日本はこれまでコスタリカを支援してくれた。今度はコスタリカが日本を助ける番だ。」として、無償の多大な協力を得たそうだ。

最終的な来場者数は1万人を越え、売り上げからの寄付と赤十字への募金を合わせ、
総額約2千万コロン(約4万ドル)の義援金が集まった。
赤十字関係者によると、コスタリカにおける1日の募金額としては異例の規模。
※生活水準の低いコスタリカにおいて、4万ドルというのはかなりの大金※
集まった義援金は、日本赤十字に送られ、被災者支援に活用される。

中米の小さな国の奇跡のような1日が、日本で報道されることはないと思う。
でも、遠く離れた地球の裏側で、たくさんの人たちが心を痛め、犠牲者のために祈り、
災害現場においても変わらぬ日本人の誠実さと助け励まし合う姿を賞賛、尊敬し、
復興を信じて応援してくれている。
この事実を誰かに伝えたくて、今回の記事を書かせて頂いきました。

最後になりましたが、犠牲者の方々へ深くお悔やみ申し上げますと共に、
被災者の方々の生活が、一日でも早くより良い方向に向かいますことを、
心よりお祈り致します。
ーーー