【オーガニックな生き方を追求する男】若手農家・吉岡龍一のライフ&ワークスタイル

アースガーデンと第一次産業ネットが、自然とともに暮らす人々の生き方をお届けする特集の第3弾。今回は、大学卒業後に就農を決意し、若くして独立を果たした農家さんをご紹介します。

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吉岡 龍一さん。1988年生まれ、千葉県松戸市出身。大学在学中にNPO法人で1年間環境保全について学ぶ。卒業後、地元で農家になるための研修を経て、2013年鷲野谷(わしのや)集落にて就農。現在「吉岡農園」の運営を行う吉岡さんに、農業という生き方について聞いてみました。

きっかけは大学時代のインターン

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大学時代は西洋政治思想史を専攻、大学院まで決まっていた吉岡さんですが、どのようにして農業の世界に興味をもったのでしょうか。

吉岡さん 「在学中に環境保全をやっているNPOで1年間インターンをする機会がありました。耕作放棄された田んぼを地域の子供たちと一緒に復田したり、無農薬のお米作りをしたりしていたのですが、そこでの活動がとても楽しく感じました。大学4年になり、大学院進学が決まっていたのですが『インターンで経験したようなことを地元でやってみたい』という想いが忘れられず、進学を辞退して農業の勉強を始めました。」

地域の農家さんに学ばせてもらった

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吉岡さん 「卒業後は就農者の育成制度を利用して、1年ほど農家さんのところで勉強させてもらいました。その後、別の農家さんのところでアルバイトをして力をつけて、3年目にしてようやく自分の畑をもつことができました。僕は経験が浅いうちに一人で始めましたが、周りで野菜を作っている人がたくさんいたので、色んな人の色んな野菜を見ながら作り方を学ぶことができました。農業界って不思議なもので、普通の業界なら同じ業界の人にはノウハウとか何も教えてくれないと思うんですけど、農家さんは聞けば何でも教えてくれるんです。『作る人が増えれば、みんなもっといいものが作れる』という考え方があるんだと思います。」

人生を形作るライフワ―ク

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農業と並行して他の仕事にも積極的に挑戦している吉岡さん。そのライフスタイルについてお聞きしました。

吉岡さん 「農業以外では家庭菜園の講師やモデルの仕事もたまにしています。また、地元でコミュニティカフェを立ち上げてその運営にも携わっています。1つは地域で農業を、もう1つは人との交流が密なところで色んなプロジェクトを動かす、そういう動き方をしています。僕のまわりにはモノ作りに強い想いをもっている人たちが割と多くて、僕自身もいろんなモノを作りたいですし、モノ作りをしている人たちの助けにもなりたいと思っています。」

オーガニックな野菜作りの難しさ

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農業を始めてから、それまで抱いていた理想と現実のギャップを感じたと話す吉岡さん。農業に対する考えをお伺いしました。

吉岡さん 「農業を始めて感じたのは、就農前に思い描いていたイメージとギャップがあったことです。それまでは、無農薬で野菜作りをするほうが消費者も喜ぶし絶対に良いと考えていたのですが、実際に地域に入ってみると、畑を維持したり後継者を育てたりするので精いっぱい、という現状があってそれどころではなかったんです。100%オーガニックで農業をするよりも、農家さんたちが全員農業をやめてしまって田畑が荒れ果ててしまうことのほうがよっぽど問題だと考えています。畑って、1~2年空いてしまったら割と一生野菜が作れない土地になってしまうんです。そこで初めて『良いものを作る前に、そもそも作る人が増えないといけない』ということに気づかされました。」

農業人生の転機

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卒業と同時に就農して、やりたいと思ったことをすぐに行動に移してきた吉岡さん。今後の方針を聞いてみました。

吉岡さん 「実は、来年からとある法人のもとで農業をやることになっているんです。その法人でやる仕事がすごく面白そうだったことと、田舎暮らしをしながら農業に集中できる生活環境も就職を決めた主な理由です。そこではオーガニックな農業生産を通したエコビレッジを作る構想があって、現場でモノ作りを管理できる人が求められていたときにちょうどご縁がありました。一人で農家を続けることにこだわるのではなく、自分のやりたい農業をやれる場所にいく道を選びました。」

農業に興味をもつ方へメッセージ

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吉岡さん 「フワッとでも『農業やりたいな』と思うなら明日にでもやったほうがいいと思います。僕に農業を教えてくれたある農家さんには『人のところで作るより、まずは自分でやったほうが100倍も200倍もタメになる』と言われたことがあります。そのアドバイスを受けて独立したわけですが、いざ振り返ってみると自分にとって良い経験になったと感じています。就農が難しい方は、家庭菜園から始めてもいいと思います。あと、農業に携わるってところだと『想いをもって野菜作りをしている人の野菜を買う』ことも大事だと思います。『この野菜はどれくらい手間がかけられて作られたのかな?』とか疑問をもって買い物をしてみると農業に対する興味が深まりますよ。」

吉岡さんのように未経験から農業の世界に飛び込んだ人たちはたくさんいます。農業求人サイトの第一次産業ネットでは、正社員から夏季限定の農業アルバイトまで募集しています。「未経験でも農業を学んでみたい」「田舎で気持ちよく働いてみたい」と思っている方は、興味のあるお仕事を探してみてください。

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