全力で畑に向き合って、全力で食べる!株式会社耕すの爽やか耕すボーイズ語る農業

ap bank のセクション「明日(あす)ラボ」の出資により誕生した農場 「株式会社 耕す」で働く、爽やか耕すボーイズ。

この3人が体当たりで挑んでいるのは、オーガニックな野菜作り。日差しが暖かく降り注ぐ穏やかな日も、冷たい雨に凍えるの日も、自然と会話をしながら、感受性を武器に今日も元気に畑に向かう。

3人の感受性と知恵で、野菜を育てる
農業生産法人 株式会社 耕す
伊藤 雅史 / 塚本 篤史 / 斉藤 健太朗

ピンチはチャンス

伊藤「農業をやっていると、月に何回も「これはやばい」という瞬間がくるんだ。例えば、雨が振ると、やりたい作業が一週間先までできない。だから、今日中になんとしてもこの作業を終わらす。とかね。」

斉藤「雨マーク、怖いよね…。」

塚本「今日はすごい強風なのに、昨日小さな苗を植えちゃったとか。」

斉藤「そうそう、畑でよく見る除草シートを、ジャガイモの畑にキレイに貼った次の日。突然、嵐が来て、シートがほとんどが飛んでいちゃって…。時間もお金もかかる作業だし、そもそも除草シートがあるから草が生えてこないわけでさ。あれは困ったよね。」

伊藤「でも、ピンチはチャンス。除草シートがない場合、どうやって育てればいいか勉強して、機転を利かせてクリアさせていくんだよ。結果、とても美味しいジャガイモが取れた。」

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「食」と「農」をテーマに「日本各地の生産者」と「都市で生活する人々」をつなぐプロジェクト【Food Relation Network】の自主生産活動の拠点として、ap bankの出資で生まれた「耕す」で働くこの3人。まさに体当たりで農業に挑んでいる。

大事なのは感受性

伊藤「僕は大学時代にkurkku kitichenでアルバイトしていて。それが縁でap bankの中で「本気で農業をやろう」と決まった直後から関わっていた。東京で、農場を作るための計画、予算、運営の仕方とかデスクワークをこなし、2年前の1月にこっちに移ってきたんだ。はじめはもうただの荒地だったから。まずは土木作業だよ。重機を使ってどんどん開墾した。ここは元牧場で、土地は広いけど草が全面に生い茂っていて。もちろん畑の区画もないし、野菜が作れる様な土の色もしていなかった。プロの先生に見せても『俺だったらやらない』って言われちゃうくらい。可能性はゼロじゃないけど、野菜作りは苦戦するだろうし、強い覚悟を持って望まないといけないなと。」

塚本「そもそも、3人の中で農家での研修経験があるのは、僕だけだったし。」

斎藤「僕は、高校が農業高校だから、未経験ではないけど、耕すに来る前は林業を仕事にしていた。農業はそれ以来。」

伊藤「一年間、鴨川で農業研修をしていたけど、畑も小さかった。トラクターも乗ってないし、耕すみたいな大規模な畑なんて管理した事がなかった。」

塚本「だから、やりながら勉強の日々だよ。とにかくやってみて、失敗したら本やネットで調べて、解決方法を見つけて。また試す。その繰り返しだよ。今でも壁にぶち当たりまくりだよ。でも、3人で考えて、知恵絞って、前に進むっていうかんじ。」

伊藤「あと、アドバイザーの先輩方もいっぱいいるから。若いからこそ、気軽に相談できる。気をつけるポイントは抑えつつ、あとはとにかくやってみる。でも、一番、大事なのは感受性なんだよね。3人とも農業経験は浅いとは言え、自然と向き合う感覚は養ってきたらから。自然からのリアクションには敏感に対応できていると思う。一人でやってるんじゃなくて、3人の知恵や感受性が強い武器になってる。」

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土から、葉っぱから、気温から、空から。様々な自然からの言葉にならないメッセージを敏感に感じ取り、仕事に活かす3人。”オーガニック”という言葉には、どことなく繊細でキレイでおしゃれなイメージが伴う。そのような「デザインされた表面」を支えているのは、大胆に無骨に土臭く積み重ねる日々なのだ。

全力で畑に向き合い、全力で食べる

塚本「今はナスがおいしい。(取材に行ったのは9月初旬)他には、レタス、ニンジン、キャベツ、ブロッコリー、ジャガイモ、枝豆、落花生、ハクサイ、ダイコンなどなど。年間で約40種類ぐらいの野菜を育ててるよ。春は甘みのある美味しいレタスが採れて、夏はフルーツみたいなナスができて、ブロッコリーとかハクサイとか、畑でちぎってそのまま食べてもとてもおいしい。」

伊藤「年間とおして美味いものだらけだよね。自慢の有機野菜たち。」

斎藤「毎日見守ってきた野菜を食べる瞬間は本当に嬉しい。自分が蒔いた種が日に日に大きくなるんだよ。その成長の過程を見てたら、うまいに決まってるよね。」

伊藤「全力で畑に向き合って、全力で毎日管理して、全力で食べる。大地と本気で向き合うっていうか、会話をしているっているか。文字通り「体感」を通じて仕事を作り上げていく醍醐味が農業にはあるんだ。」

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これからはもっとオーガニックの美味しさを同世代に伝えたいという。二十代後半、家族を持つ友人も増えてくる年代だ。友人の子どもに、安全で美味しいごはんを食べて欲しいから。そんな爽やか耕すボーイズは今日も元気に畑に向かう。この3人が作る野菜が、おいしくないはずがない。耕すマークの入った野菜、ぜひご賞味あれ。