公園を「使う」という発想、代々木公園でフェスを続けて思うこと。3年ぶりのアースガーデン夏を終えて

3年ぶりのアースガーデン夏。実は、2020年、2021年と2年連続できなかったんです。あぁ、こんな感じだったなぁ。と懐かしい気持ち。暑い…のは言うまでもありませんが、日陰に入ると風が気持ちよい日でした。

クラブミュージックやDJが禁止だった代々木公園に変化が起きた夏

実は10年以上前から、代々木公園の野外ステージでは「クラブミュージックやDJを控えてください」といったルールがあります。どこまでがクラブミュージックなのか、どこまでがDJなのか。さまざまな経緯はありますが、たくさんの人が使う「公園」のステージですから、一律でルールを決めるには多少の矛盾には目をつむり、大きな傘を広げるしかなかったのだと思います。

とはいえ、それってちょっと寂しいと思うのです。だって、クラブミュージックやDJ、聞きたいじゃないですか。

しかし今回のアースガーデン夏では、サラッとDJをタイムテーブルにいれさせてもらっています。もちろん、黙ってやったわけじゃありません。公園を管理する事務所と交渉し、どういった条件ならDJをできるのかを探ったのです。

その軌跡を広く共有するために、どういった経緯で今回のDJが実現したか、出演者である沖野修也さんと、アラビアンフェスの主催者である大谷秀政さんと、アースガーデン代表の南兵衛と、3人のトークセッションも開催しました。

公園を管理する立場の人にとっても、アーティストにとっても、参加者にとっても、ぼくたちアースガーデンにとっても、それぞれが「ここなら納得できる」という新しい合意の形をつくる。

凝り固まってしまったルールを解きほぐし、みんなの合意のもと、小さいけどとても嬉しい自由を取り戻すことができました。

ルールハッキング・メイキング

Creative Commons Japan理事で、アートやカルチャーの表現活動を法律家としてサポートする水野祐さんは「ルールハッキング/メイキングの循環」というテーマで、このように語っています。

一から法・ルールを制定するのではなく、すでに多くの法・ルールが多層的・多元的に積層している都市空間においては、時代の変化に合わせてルールハッキングとルールメイキングを循環させ、ルールをアップデートしていくことが社会と法の共生関係としては望ましい

ルールハッキングという言葉については、「法の抜け穴」といった脱法的な悪いイメージがあるかもしれないが、ここでは「ハッキング」をより望ましいように工夫して改良する、の趣旨で使用している。そもそも、法というルールは、そのルールに潜むバグを発見し、それを改善することで発展してきた。現在のように変化が激しい時代においては、どうしても「ルールを破って育てる」視点が必要になってくる

また、ルールハッキングのフェーズにおいては、どうしても規制緩和に思考が向きがちであるが、規制が緩和された領域が「ゼロルール」でよいことは思いのほか少ない。ルールハッキングとルールメイキングはこの時代において表裏であり、規制緩和された後の領域にどのように新しいルールをつくっていくのかは、ルールハッキングにトライする者の責務と考えるべきであろう。

https://www.biz-lixil.com/column/urban_development/sh_review009/

また、水野さんはボトムアップ型ルールメイキングのポイントとして4つを挙げています。

1)Playful(遊びごころをもつ)
2)Collective(コレクティブ)
3)Instituion-ing/Institutionalize(制度化する)
4)Smallness(小さく始める)

https://www.biz-lixil.com/column/urban_development/sh_review009/

この2年間半の間、さまざま形で、新しいフェスティバルの開催を模索したアースガーデンでしたが、その歩みも1〜4のポイントが当てはまるように思います。僕たちは意図せず、代々木公園やその他の公共空間を使うことで、ボトムアップ型ルールメイキングを少しだけ実践していたのかもしれません。

2022年の参院選が終わりました。その直前には、あまりの衝撃的な事件も起きました。コロナ禍とはまったく別の方向に、社会は動き出してしまうかも…なんて不安も感じます。

忘れてはいけないのはルールには完璧なものはなく、みんなで育てる気持ちが大事だということ。そんな思いを持ちながらフェスティバルを眺めてみると、また違う景色が見えるかもしれません。

入場者数
7/2(土)18,000人
7/3(日)22,000人
合計 40,000人