【コラム|テンダー】鹿児島の廃校に作るダイナミックラボ、次なる取り組み「介護予防ジム!」

ども。ご無沙汰してます。テンダーです。

さてはてわたくし、ただいまcampfireというサイトにて、クラウドファンドに挑戦中なのです。

» 鹿児島の廃校に、家も作れる日本最大のファブラボ「ダイナミックラボ」を作る!

ありがたいことに、期限の2/27を待たずして仮の目標額250万円をクリア(2/28:無事5,790,352円が集まりました!)
ただいまは真の目標額の500万円に向けて、リターン品を増やしたり、日々発信をしたり、という毎日です。

このプロジェクト、ダイナミックラボについての詳細は、「7500いいね」を獲得した上記campfireページをぜひご覧いただきたいのですが(とっても多岐にわたるプロジェクトなので、ここで紹介すると日が暮れちゃう!)、

簡単に説明すると、
「廃校を太陽光発電 & 雨水利用 & 薪の熱源 & 自作の下水で運用することで環境負荷を減らし、さらに廃材や見捨てられたものから商品を作り、地域に雇用を生む」というプロジェクトです。

ダイナミックラボ

電気ガス水道契約なしの私の暮らしを拡大したもののイメージなのですが、さらにここに「介護予防ジム」「ありとあらゆる技術伝承」という2つの事業が入ってダイナミックラボは完結します。

というわけで今日は、クラウドファンドページでは語られなかった、介護予防ジムについてをここで語らせてちょうだいな!

» はじめに。テンダーの住む大坂地区について

大坂運動会

ダイナミックラボの舞台となる金峰町・大坂(だいざか)地区は人口400人前後、高齢化率48.7%、平均年齢60.2歳。移住者もほとんどおらず、地域の小学校も3年前に廃校となりました。

そして、大坂地区の中の私の住む小さな集落は世帯数12のうち、90歳前後の方が2名いらっしゃって、その2名ともまだ元気に歩き、車を運転し、お一人はスマホを扱うのです。

この集落には週一回「おしゃべり会」という集まりがあり、そこで高齢者が自発的に運動をする&遊ぶことで健康を維持できるんだろうなぁ、とぼんやり私は思ってたんですね。

そんな折、鹿児島に住む森田洋之医師が、TEDxにて財政破綻した夕張の医療の話を講演していて、その内容に私はもうびっくり仰天。

» 医療崩壊した結果、三大死因の死亡率が下がった夕張市


[ログミーにて、この講演の書き起こし原稿は「16万いいね」を獲得]

なんと森田医師によると、「高齢化率日本一の夕張市が医療崩壊したにもかかわらず、市民の予防・運動の意識が向上したためか、心疾患・肺炎などの死亡率が下がり、老衰の死亡率が急増した」驚くべきデータが出ている、とのこと。

その後、私は森田医師とご縁があり、彼から医療の問題を教えてもらうことになりました。
(さらに今回のラボの事業主体である「一般社団法人その辺のもので生きる」の理事にもなってもらいました!)

例えば、80歳を超えて転んだりして股関節を骨折してしまうと、寝たきりになってしまうケースが日本には非常に多い。だけどそれは、決して人間や高齢ゆえの限界なわけではなく、運動をすればまた歩けるようになることも多いそうです。

しかし、日本ではリハビリでトラブルが起きるリスクを恐れたり、診療報酬点数の問題で「寝かせきり」にしてしまうことも多く、動かない体は弱るがゆえに、そのまま病院で「胃ろう」まで処置が進み、最終的には免疫が落ちて日和見感染の肺炎で亡くなる方も少なくないらしい。

私は医療の門外漢だし、たくさんの事例を見たわけでもなく、「だから近代医療が間違ってる」と声高に叫ぶつもりもありません。ただこの話が「自分にとってのちょうどいい医療ってなんだろう?」と考えるきっかけになったわけです。

» 「介護予防ジム」という存在

ある日、森田医師が「介護予防の現場を見ないか?」と誘ってくれたので、一緒に鹿児島県のいちき串木野市にある「至誠舎」というデイサービスに見学に行ったのです。

介護予防ジム

そこで会ったお婆さんは、それこそ80歳を過ぎて股関節を骨折したらしいのだけど、
至誠舎のスタッフが「お婆さんは、何をしたいですか?」と聞いたら、「旦那さんにお味噌汁を作ってあげたい」と答えたそうな。
それからお婆さんは毎日至誠舎に通って、簡単な運動をして、つとつととゆっくり歩けるようになった。

そして、今では毎日、お味噌汁の材料を買い物に行って、旦那さんに味噌汁を作ってあげている。

至誠舎を後に、帰路の車の中で森田医師は苦々しく呟いた。

「あのお婆さんと、寝たきりで胃ろうまで行ってしまう人と、違いなんて大してないんだ。ただ、担当した医者が何を言うかだけで、その後の生活がまるっきり変わってしまうんだ」

» 改めて大坂地区を観察すると

大坂地区の皆さん(周りの人がみんな60代以上だから、私にとってはこういう呼称がしっくりくる)は、70歳でもボルダリングウォールを登ったりするし、杖をつく人も少ないし、極めて体の強い地域だと思う。

そして、地区には病院がない。

だからこそ、ここで夕張モデル———健康と命を自分たちで考え、整え、向き合うモデル———に挑戦するのは、とても意味があることなんじゃなかろうか、と思うようになった。

幸い、身体を動かす文化がここにはあるし、私の集落の成功例(90歳になっても元気でいられる)もみんな知っているし、ここで介護予防ジムをやるのは、うまくいく要因が多いように思う。


[森田医師の、介護予防ジム見学後のコメント]

そして至誠舎代表の方いわく
「100万円するようなトレーニングマシンも散々使ったけど、結局はホームセンターで買ってきたロープで作るトレーニング道具や、数千円で買える重めのボール、そんなものが一番効果がありましたね」とのこと。

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つまり、、、お金のないうちの事業にもピッタリ!

» ファブラボと介護予防ジムが合わさると

さらに、至誠舎では、必要なトレーニング道具はスタッフが自分たちで作っていた
そこにファブラボが合わされば、もっとたくさんのこと、楽しいことができるに違いない。

おそらく介護予防の現場で大事なことは、トレーニングの負荷の計算や、統計データだけではなくて、
仲間がいることや、誰かの役に立てること、なんじゃないだろうか。

みんなが揃って取り組むラジオ体操の音源は、誰かが漕ぐ自転車の発電によって再生されたり、

2人以上が協力しないと達成できないトレーニング機器を作ったり、遊び心も含めていろんな形が考えられる。

さらに、大坂地区のおっちゃん、おばちゃんたちは多くの人が多様な技術を持っているので、
例えば若者がファブラボに溶接しにきたところへ、ジムのおっちゃんが教えに行き、若者はお礼にトレーニング道具を作ってプレゼントしたり、などなど。

全く違うジャンルの施設を複合することで、世代間交流が生まれる気がしている。
ファブラボ、介護予防事業、技術伝承。この3つは一見関係ないようだけど、実は「自分の人生を自分で設計して実践する」という一点で貫かれているのでした。

そんな文化が、やがてこの大坂に確立したら嬉しいなぁと。

そんなわけで志は大きく、進み方は手堅く、介護予防ジムは次年度以降の事業になりそう(ファブラボだけでも、今のところ手が回らない)。

テンダーの新事業、ダイナミックラボをお楽しみに!
(クラウドファンドも、下記リンクからぜひ見てみてね!)