次は自分が種をまく番だと思っている。TOSHI-LOWが語る「道志の森と呼応するサウンド」

今年、Natural High! に初出演になるTOSHI-LOW。アコースティックサウンドが特徴なOVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND(以下、OAU)として道志の森にどんな音を聞かせてくれるのか。OAUがオーガナイズするフェス、ニューアコースティックキャンプ(以下、NAC)は道志の森キャンプ場が会場だった。道志への想い、そしてTOSHI-LOWの音楽性について伺った。

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道志の森と呼応するサウンドを求めて
TOSHI-LOW

俺だけじゃなくて、バンドのみんなもやっぱり道志の光景が好きだ

TOSHI-LOWさんは、Natural High! 初出演ですが、道志の森キャンプ場には、思い入れありますよね。

TOSHI-LOW:もちろん。道志が無かったら、NACもないからね。だからすごい、心には残っているし。あと初回の道志に来てた人が今でもNACに来るんだけど、やっぱ初回が印象深いって言って。贅沢だったじゃん。あんだけバンドが出て、1000人もいなくて。すごい自由な雰囲気だって。あれが原型の風景だし。やっぱりキャンドルジュンともあれを超えれてないなぁって話してて。

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Natural High! っていうか、道志が一番いいのは、やっぱり密度だと思います。あの谷筋の狭い空間に、あれだけのフェスがギュッと凝縮される空間。だからそこの道志にOAUが帰ってくるって部分もあるかと。

TOSHI-LOW:すげー、嬉しいよ。多分、俺だけじゃなくて、バンドのみんなもやっぱり道志の光景が好きだったから。

キャンプが何であるかっていう快適さを求めないと楽しめない。

具体的にはどの辺が道志の森の魅力でしょうか。

TOSHI-LOW:何だろう。言ったら、キャンプをできなきゃ、来れないっていう感じがすごい好きで。じゃあ、テントだけ持ってくればいいかって言ったら、あんなゴツゴツしているところじゃ、マットとか敷かないと、うまく寝れないし。だから、キャンプが何であるかっていう快適さを求めないと楽しめない。でもそれがすごく良くて。キャンプを快適にできるっていうことが基準やモラルになるから、ライブに対しても、ゴミの問題でも環境の問題でも、初めから意識が二個も三個も高いよね。

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道志の森でOAUをみたときに、すごく音が響き渡っているなぁって思って。やっぱり演奏される側の気持ちよさもありますか。

TOSHI-LOW:最近なんだよね、それができるようになったの。10年かかって、みんなが各個人、楽器って指押さえることとか、弾くってことじゃないんだな、って。その楽器が持っている、音に近いことをみんなでやるっていうか。俺たちはほとんど木でできてる楽器を使うから。森に呼応しない音をつくった場合、俺らが間違って選択しているということなんだよね。水って、流すと必ず流れるべきとしたところに行くじゃん。それと同じで、音もそういうことなんじゃないかなと思ってて。それは電気でつくれば圧力で押せるけど、そうじゃないもの。せっかくアコースティックのバンドやってるから、増幅したものじゃないものをやりたい。

次は自分が種をまく番だと思っているから

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TOSHI-LOWさんって、BRAHMANのイメージが強くて。でも実際にOAUで出てくる音っていうのは、全然違う音になるし。例えばソロだと、忌野清志郎の曲を歌ったりとか。

TOSHI-LOW:清志郎もジョン・レノンも、ボブ・マーリーもそうだし、ジョー・ストラマーも。「あの人たちがいたからって、戦争なくならねーじゃねーか」って言う人もいるけど、違うよって。あの人たちがいたから、種がまかれてて、よっぽどひどくなっていないのは、俺はあの人たちのおかげだと思ってる。自分たちもその小さな芽なんだと思うし、たいした花じゃないけど次は自分が種をまく番だと思っているから。もちろん当人たちに生きてて欲しかったな、って思うけど、特に清志郎なんか。けど、いないからこそ、歌に想像力が湧くんだよね。

OAUの曲は、アコースティックの透通った音にも関わらず、詩とかにいろんな意味を持たせてるし。世界観としては、フォークとかそういったのに近いというか。

TOSHI-LOW:本当の意味でのフォークだよね。エレキがある前は、スッゲー尖った音楽だったと思っているんで。だから、今、自分たちがBRAHMANとしてやっていることと、OAUとしてやってること、俺のなかでは、あまり相反していなくて。OAUだから、優しいと思っているわけじゃなくて。音色はこんなだけど、なかにあるものはどっちも一緒。それをアコースティックの音色で出すか、エッジが立って出すかの違いだけだから。でも震災があって大きく変わった点かもしれない。前は二つの自分をどっかで演じないと、やってらんなかったんだけど。結局、自分って一個しかないし。もう裏も表も、出尽くしてて。ルーツ一個しかなくて、そんなかで、アウトプットが何個もあるっていうのは、俺はすげー楽しいなって思ってて。音楽を使って、遊んでいること自体、すごく豊かなんだよ。みんなやりゃあいいのにって、俺、思ってんの(笑)。

結成から10年を越えたOAU。森と呼応する音を道志で響かせ、僕らはそれを体いっぱいに浴びたい。季節は新緑の最も木々が輝いているとき。オーガニックなグルーブで心が踊りだす、そんなステージが楽しみで仕方ない。

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