ライブも、石巻も、必要としてくれるところならどこへでも。GAKU-MCが語る「ラッパーとして原点回帰」

「やめんな。」と彼が言った瞬間、心臓がドクッと鳴った。長年【言葉】を何よりも大切に生きてきたからこそ、言葉以上の何かが伝わってきた。

昨年一年間は、自身の音楽活動とap bankのメンバーを二足のわらじでこなしていた。ニューアルバムの制作も、ライブも、事務仕事も、宮城県石巻でのボランティア活動も全力で取り組んだ彼が出した答えはラッパーとして原点回帰することだった。

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まずはおめでとうございます!!晴れて独立した今、一番自分と向き合ってくれる、これから伝えていきたい人たちに言いたいことはなんですか?

GAKU-MC「やめんな。ってことですね。やりたいことをやめんなってこと。この一年はこれからの僕の価値観を大きく左右する一年間だったんです。メジャーレーベルからCDを出していくっていうは、すごく大変なことです。常に結果が求められますから。サッカー選手でもサラリーマンでもみんなそうですけど、結果を出せなければ、戦力外通告になるわけで。好きで始めたことが結果を出せないことによってやめなきゃいけないことがでてくる。

でも、それでやめちゃうのはもったいない。だから、僕はすべてをさらけ出して、やめなきゃ次へと続いて行くんだっていうことを証明したい。やめてしまっては出会えなかった人やモノに出会えるんです。それがまた新しいものを生み出して、気づいたらとんでもないところにいたりする。」

たしかに。

GAKU-MC「先日、blogに『独立宣言』という記事を載せたんですよ。自分で志を決めて、気持ちを込めて、blogに書いたんです。そしたら、沢山の人が答えてくれたんですよ。ツイッターではものすごく数のリツイートが来ましたし、すごく懐かしい人からも応援してくれるって言ってくれたんです。DA.YO.NEのころのエンジニアさんからも「できることがあったらなんでもするよ!」って連絡が来たんですよ。沢山の人に支えてもらってるって改めて感じました。

これからは、ライブを死ぬほどやりたいって思ってます。大きなライブハウスから、小さなカフェまで、僕を必要としてくれるところがあれば、全国どこでも行きますよ!」

おっ!それ、今回の記事のタイトルにしますね。

GAKU-MC「いいですよー!全国くまなく行けるだけ行ったろうと。ap bank fesで3万人ものお客さんの前でパフォーマンスする喜びももちろん知ったけど、逆にPAがない20人ぐらいのお客さんの前でもいいなぁって思ってます。音楽を受け取ってもらって、一人一人を笑顔にする。そこを大切にしたいんですよ。

新しいアルバムは予算も含めて、全部自分で管理できるようにしたい。最初は白CDかもしれない。それをライブに来てくれた人に手渡しするような地道なところからリスタートしたいんです。」

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これから夏から秋にかけてのスケジュールってどんな感じなんですか?

GAKU-MC「呼ばれるのを待っているだけではつまならいので、自分でイベントを主催して行きます。「The Dish」っていうイベントなんですけど、ライブが終わった後、出演アーティストがフードブースを出すんです。ライブ後の打ち上げをお客さんとアーティストが一緒にやるかんじ。
アーティストにとってはお客さんからの感想が直に聞けて音楽作りに生かせるし、お客さんにとってはアーティストが身近になってよりCDが売れるかも知れない。一緒にやるアーティストも全然有名じゃないけど僕がいいと思ったアーティストを選んで一緒にあがって行きたいなって思ってます。

応援しますよ!ところで、石巻のボランティア行ってきたんですよね?どうでした?

GAKU-MC「行ってきました。3月20日ぐらいから。ap bankの中で誰よりも先に行かせてほしいって頼みました。それだけ、石巻には思い入れがあるんです。僕は何年か前に、石巻で行われた舞台に出演したことがあるんですよ。だから、そのときの美しい石巻を知っているんです。穏やかな海、広い空。風情のある路地があって、街は活気で溢れていました。

だからこそ、今回のボランティアで訪れた時の光景はすごく辛くて。舞台の時に泊まったホテルのロビーがめちゃめちゃになっていたりするんです。
ap bankの活動拠点の石巻専修大学でのテント暮らしだったんですが、とにかく寒いのも大変でした。-15℃まで対応できる寝袋でも、寝袋から出ている顔が寒くて痛くて、朝方必ず目が覚める。でも避難所暮らしをしている人達はそれが普通。そう思うと本当に胸が痛んだ。弱音はいている場合じゃないんだ、と。」

今、ボランティアの数がどんどん減っていますよね?

GAKU-MC「これからはボランティアだけでなく、地域経済へのサポートも必要だなと感じました。もう少し落ち着いたら、家族で観光しにきて、美味しい物食べて、その泥かきをした場所を訪れて『ここはパパが泥かきをした場所なんだぞ!』って自慢してもいいじゃないですか?

アーティストとしても、石巻でやろうとひとつ考えてることがあるんです。石巻のライブハウスをどうにかして盛り上げたいんですよ。営業できなくなってるライブハウスって当然多い。設備としては使えてても、使うアーティストがいなかったり、使うイベント主催者がいないという状況なんです。アーティストはライブする現場が無ければ仕事が無いということですから死活問題です。

僕がやりたいのは、石巻のアーティストと石巻でセッションすることなんです。楽譜と、寄付で募った楽器を送って練習しておいてもらって、石巻のライブハウスでセッションするんです。お客さんもたくさん集める。これならみんなハッピーでしょ?そんなことも考えてます。音楽で行うボランティアって避難所を回って行くようなイメージがあるけど、ほんとはもっといろいろできることがあると思うんです。人を呼ぶだけなら、僕よりももっと有名な人がやったほうが効率がいい。それなら、僕にしかできないことをやりたいんです。」

応援しますよ!独立も石巻のことも。早速、夏至フェスも決まってますからね。これからもよろしくお願いします。