【Natural High!出演】SPENCER (a.k.a.大谷友介/オオヤユウスケ)インタビュー「音楽と人が自然に結びついたカタチで どこにいても、やるべきことがはっきりした」

音楽と人が自然に結びついたカタチでどこにいても、やるべきことがはっきりした!Natural High!出演のSPENCER (a.k.a.大谷友介/オオヤユウスケ)インタビュー記事です。

ーーーベルリンにベースを移して1年ちょっと、レコーディングはどうだっだの?

SPENCER(以下S)そうですね、まずは日本はモノが溢れているだけでなく、形ができすぎっていうか。日本がすごく特殊なレアケースだったことに、あらためて気づきました。

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ベルリンのアーティストは、どんな形で活動している人でも、基本的にDIY精神で自立していて、でもしっかり仲間とコミュニケーションもとって。エンジニアの人まで100%アーティストで、セッションしているようにやり取りが進むんですね。そして、こっちのアーティストと出会う中で、もうこれが当たり前だと思っている自分がいて。

2年ちょっと前、稲城の南山の保護の運動を南兵衛さんやみんなに手伝ってもらって、ohanaでライブもしたけれど。これも、誰に頼まれたでもない、自分が何かせねば、何かしたいという思いと、自分の音楽活動が自然に結びついたことだったんですね。

今のベルリンもその延長でさらに自分が深まっていく感じですね。

ーーードイツの人々はどんな感じなの?

S 街の中の人たちに、本当の意味でのエコ的感覚が身についていて。黒い厳つい犬を連れた、すっごいパンクスまで当たり前にリサイクルの分別をしているんです。へーって思いますね。

本当に地に足の着いた活動をしている人が多いんですよ。本当の草の根。

だから今回の震災の話でも、こちらでのチャリティーの動きがすごく速くて。何か自分がやれることをって自然に思うんでしょうね。ドイツにいるので、距離的な問題もあって、自分に震災のリアリティが薄くなるかと思ったら、むしろ、こちらの人々の動きが日本の速度感と変わらず進んでいたので、気づかされ、そして励まされました。

自分が出来る形で、こっちにいるからこそできることがあるんだと。それでチャリティーをベルリンのアーティストと一緒にやることになった。(4月2日にベルリン市内のギャラリーBetanienで、ベルリンの音楽家やコンテンポラリーダンサーとともに開催。)

ーーー日本の震災の後、原発のデモに20万人集まったんだよね?

S 原発に対しては、国レベルでも、市民レベルでも、すでに明確に、原発という存在を無くしていく努力がなされていますね。なので、それに対する声のあげ方は本気なんです。その他反原発だけじゃなく、いろんなテーマに対してやってますね。それが半端でない数で、いわゆる右、左という分け方だけでなく、いろんなタイプ、ジャンルが参加しています。先生が先導しながら、子どもたちがついてくるなんてカワイイのもあったり(笑)

東と西に別れていた時代から、そんなに時間が経ってないので、みんな国のことを憂いでいて、自分たちの問題として、国のこと、経済のこと、政治のこと、将来のことを、若い人たちもすごく考えています。

ーーードイツの街と自然は?

S ドイツの国土は日本より狭くて、人口密度もそれなりに高いんですけど、分散型の国づくりになっていて、首都のベルリンからでも電車で20分も行くともう何もない森林地帯で。新宿から立川ぐらいの距離を行くともう何も無くて怖いぐらいですよ。緑の多さと言ったら!本当にすごい。

ベルリンの中心部に今は住んでいますけど、代々木公園ぐらいの緑が街中にバンバンあって、子どもも大人もお年寄りも休みにはみんな集まってきて、芝生でゴロゴロしながらビール飲んだりとか。その感覚は心地いいですね。

元々の緑地を開発しないでちゃんと残す制度になっていて、それはすごく立派で真っ当だなって。

今回のこともきっかけで”脱東京”っていうか、どこにいってもやっていける感じもあって。色んな部分がいわゆる一極集中した、今の日本とは反対で、本当に分散していて。例えば、去年ハノーバーにライブしにいったんですが、寂しい町外れにポツンとギャラリーがあって、そんなところが実はアートの現場になっていて、夜になると何百人も人が集まるとか。

そんなところがいっぱいあって、小さいレコード屋さんとか、ギャラリーとかで当たり前に街から街から音楽が出てきているぞって感じ。音楽やアートが生きている感覚をより肌で感じるようになりました。

日本でも徐々に変化して、これからそういう場や感覚が当たり前になっていくと思うんですね。今年はドイツ国内でもライブをしっかりやるつもりです。

ーーー今度のアルバムはどうなの?

S なんかインタビューっぽいっすね。(笑)

ベルリンに来て、準備にはじまり曲造りから全部こっちで。自分がどんなことがやりたいのか?食事をして仲間と話をして考えて、空気感からずっとこっち。だから僕自身がすごく変化してきていますね。ここに来た一年が凝縮されている。

子どもの頃はチェロを習って、歌い始めは意外と遅くて20歳過ぎてだったり。本来の自分には色んな表現と好みがあるんだけど、今までアウトプットは、ずっとバンドの中の一員として、ある一面だけを見せていた感覚なんです。今度はソロなので、今まで伝えてなかった部分もドンドンみんなに聴いてほしいなと思っていて。包み隠さず。照れているような年齢でもないし(笑)。もうこれ(音楽)しかやることがないんだから、とにかくこれをやるべし!みたいな。

バンドのボーカルの人が始めたソロだとか、変にソロのポップソングだけ作らなければいけないんだとか、歌ものだとか、インストだとか、そんなことも今は自分の中では完全に外した部分があって。という意味では、楽曲的にも振り切れた内容の、いろんな楽しみ方の出来る楽曲が入るアルバムになりましたね。

ーーー「大谷友介」の全体って感じなのかな?

S 風呂敷をまず、包み隠さず広げてみた。そこからさらに広げる部分、次も楽しみになってくるような、そんな内容じゃないかな?

ーーーますます楽しみになってきたね。本番は、新緑の季節です。圧倒的な緑が濃い、道志の森でのライブか待ち遠しいです。今日は遠いところ(笑)ほんとうにありがとう。道志の森で待ってます!