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イギリス料理はなぜおいしくないの?日本は高い品質を求めすぎてない?イギリスで暮らしてみて思うこと| 奥はる奈

アースガーデンウェブにて、イギリスロンドンから素敵なオーガニック料理のレシピを届けてくれていた奥はる奈さんにイギリスでの暮らしを聞きました。そこから見えてきたのは、これでいいんじゃない?といういい意味での見切りと、他人への寛容さです。

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「どこで生きる?」
アースガーデンフリーペーパー vol.38
http://www.earth-garden.jp/feature/fp38

Gloomyな空

「ロンドンというと霧の街というイメージがあると思います。ロンドンの空は “Gloomy(陰うつな)” なんて表現されたりするように、確かに霧雨のような雨が多いです。夕立としてザーッと降る雨もありますが、待てば止みます。だから傘を持ってる人はあまりいなくて、雨が強ければ雨宿りしてちょっと待つということが多いです。シトシトという表現よりもさらに柔らかい雨がよく降ります」

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涼しくて雨の多い気候だからこそ、イギリス生まれのアパレルマッキントッシュにはゴム引きコートがあるわけですね。日本じゃちょっと暑すぎる。その国で生まれたものは、その国にマッチしているもの。他の国だと馴染まないこともあります。

イギリス料理がおいしくないのは、痩せた大地のせいだった

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イギリスといえば、ご飯がおいしくないという不名誉なイメージもありますが、その理由を奥さんは2つあげています。

「1つは痩せた大地。イギリスは基本牧草地で、あまり土地が肥えていなんです。それに加えて、太陽もあまり出ないし、寒さもある。イタリアやフランスに比べると野菜が育ちにくい気候です。生命力強く、土の下で育つ、ジャガイモはおいしいんですけどね」

作物が育ちにくいから、料理自体への興味が薄れてしまったのかもしれないと、彼女は話します。

「もう1つは塩を使わないこと。イギリスでは調理中に塩を使わないんです。パスタを茹でるときやソースにでさえ。塩を入れないの?って聞いたら、味付けは僕の役目じゃないからって。イギリスでは、テーブルの上に必ず、塩こしょう、ビネガーがあるので、各々が好きなように味付けするんです」

今ではエコや地産物、食への意識が高まり、普通のスーパーにもオーガニックの食材がたくさん並び、アフリカの珍しい野菜も輸入され、日本よりも先進的な面もあるそうです。移民が多い国なので、移民が経営する外国料理屋さんはとてもおいしく、味や素材にこだわるレストランもぐっと増えています

のんびりすることが上手

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「歴史的な建物を壊さずずっと使い続けているので、町並みはとても美しいです。警察官は今でも馬でパトロールをしていて、明け方になると蹄の音が鳴り響いていました。家賃は日本円だと結構高め。キッチン・トイレ・バス共用のシェアアパートで15万円くらいの家賃でした。でも、給料が日本の倍くらいあるので、負担感としては日本と同じくらいでしょう」

日本では大きな問題になっている働き方はどうでしょうか?

「会社員でも3週間とか長い休みがとれるし、日々の残業も少ない。定時が終わるころに仕事を上司から依頼されても、私は今日残業できません、と言えるのがイギリス。日本だとなかなか断れないですよね」

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日本と海外の働き方の比較において、気になっていることがありました。日本人はこれだけ働いて疲れ果てて、やっと経済が回っている。私たちはそんなに効率が悪いんだろうかということです。

「効率が悪い、ということはないと思います。ただ、日本は高いサービス、高い品質を求めすぎている気がします。イギリス人は、ある程度のレベルまで達していれば、これでいいんじゃない?って見切りをつけています。例えば、イギリスの宅急便は、時間指定がないのですが、いいんじゃないってみんな思っているし、古い建物だから電気や水のインフラ問題がよくあるけど、まぁいいか、使えてるし、と」

なるほど、と思いました。サービスの質が高いというのは、日本がよく言われることですが、それが足かせになっているかもしれない。便利にすることが正義というわけでもないのでは、と奥さんは話します。

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「イギリス人は、のんびりとすることが得意なんです。公園に行くと、読書したり、ヨガしたり、一人でゆったりと過ごしています。そうそう、彼らは肌が青白いことにコンプレックスを持っていて、晴れてる日には公園でも水着で日光浴しています。日本人からするとちょっと周りの目を気にしちゃうところですが、イギリス人は気にしません。個人の自由を大切にしているから、周りのことは気にしないんです。それが、私にもとても居心地がよくて。私が何をしていても、誰も気にしていない。気にしていないということは、受け入れているということでもあると思うんです」

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周りの目を気にしなくていい心地良さ。日本ではあまり味わえない感覚かもしれませんスウェーデンの暮らしの様子も紹介しましたが、そこでも日本に漂う閉塞感がコントラストとして浮かび上がります。

生きる環境を変えることで、張り詰めた心が解けることもあると思うのです。外国で生きるという選択は多くの人がとれるものではありませんが、自分の生き方に活かしていくことはできるはず。そう思います。

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「どこで生きる?」
アースガーデンフリーペーパー vol.38
http://www.earth-garden.jp/feature/fp38

奥はる奈

大学で国際関係学を学ぶ一方で、南海地震の減災活動、新潟中越地震支援を行い、スマトラ島沖地震では防災教育事業局長としてスリランカへ足を運ぶ。在学中、メキシコ留学や、アジア・中南米を中心に約35ヶ国をバックパッカーとして歴訪。多国籍料理を独自で学び、自宅で作れる懐石料理から中東料理まで、レパートリーは15カ国に及ぶ。卒業後、危機管理コンサルタントを経て、2014年ロンドン大学院で危機管理を専攻。現在は企業のブランディングコンサルタント兼フードデザイナーとして活動中。
「地のものを、地の水で」「キューバが好き」「一番好きなのは和食」
@bananakitchen Instagram

“Banana Kitchen”によるレシピ連載はこちら
http://www.earth-garden.jp/tag/banana-kitchen/