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休みは生活の質をあげるために。北欧で暮らしてみる?|Oatly浜ゆりえインタビュー

環境先進国、教育費無料、町並みは美しく、自然が生活に根付いている。スウェーデンの漠然としたイメージはあるものの、今まで縁はなく、訪れたこともなければ話を聞くこともありませんでした。そんな中、届いた一本のメール。差出人は、スウェーデン在住の日本人女性 浜ゆりえ さんでした。スウェーデン生まれのオーツドリンクブランド「Oatly」の日本でのマーケティングを担当していて、アースガーデンに興味を持ち連絡をくれたのでした。打ち合わせしてみると、スウェーデンの良さを様々な角度から知ることができたので、今回は記事にしてまとめました。

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「どこで生きる?」
アースガーデンフリーペーパー vol.38
http://www.earth-garden.jp/feature/fp38

普通のスーパーにオーガニックな食材が並んでいる

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「大手のスーパーには、オーガニックのセクションがあるか、普通の野菜の隣にオーガニックのものが置いてあります。値段はだいぶ下がってきて、普通の野菜に2割から3割位の値段を足せば、オーガニックな野菜が買えるようになっています。スウェーデンの人は健康志向が強いんです。みんな、日常的に何かしらの運動をしていますし、食生活にも気を使っています。」

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ビーガンやベジタリアンも多いそうですが、これは健康志向とともに、環境保護への一種の社会運動としての側面もあるとのこと。浜さんが連絡をくれるきっかけになったOatlyは、環境問題に企業として積極的にアプローチをしています。その企業のあり方が支持されて、スウェーデンだけでなくヨーロッパ中のスーパーに並んでいるようです。また、環境保護と健康志向の両面により、自転車移動が非常に多いのも特徴です。街の様子の写真を送っていただいたのですが、たくさんの自転車が街を走っています。

休みは平日の疲れを取るためではなく、生活の質をあげるためにある

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なんて素晴らしい考え方だろうと思った見出しの言葉。平日に疲れ切って、土日はぐったりしていることが多い日本人にとっては目から鱗な話です。

「9時から17時で仕事をきっちりやって、帰ったら家族との時間を大事にする。“充実した人生をおくる”ことが一番大切にされている価値観なんです。日本においては、充実した人生を送るという考え方は、年齢が上がっていかないとあまり出てきませんが、スウェーデンは若いころからその価値観をもっています。」

子育ても家事も夫婦でシェアが当たり前。保育園に迎えに行くために残業はしないし、出産した女性が職場に復帰するのも簡単だそう。

「忙しいと休みの概念が変わってしまいますよね。平日に疲れた体を休ませるだけの土日になっちゃう。でも、平日の忙しさが激しくなければ、土日は人生を充実させるための余暇に使えます。スウェーデンでは、社会全体として後者に気持ちが向いているから、社会システムもそれが可能になっています。」

なんで日本人はこんなに忙しいだろう。ずっと疑問に思っていましたが、浜さんと話しているとそのヒントが見えてきました。

「例えば、宅急便は家まで届きません。近くのスーパーに届いて、自分の家までは自分で運びます。日本は至れり尽くせりだけど、そこにわざわざ仕事を作らなくてもいいんじゃないかな。忙しくなれば、ひとりひとりの負担を増やすのではなく、新しく人を入れて調整する。これも残業がない要因のひとつだと思います。」

消費者の私たちが過剰なサービスを求め過ぎではないか、そこにかかるコストがちゃんと価格に反映されているのか。そんな目線で日本を見ると気になることがいろいろ出てきますね。

税金を収められる人を育てる

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「スウェーデンでは、働く量を契約で選ぶことができます。平日9~17時で働くことを100%として、30%まで自分の働く時間を減らせるんです。新しいことを勉強するために70%で働くとか、自分の事業をはじめるから30%に仕事を減らすとか。最近はフリーランスも増えてきましたが、会社員でも、フリーランスでも、国が社会保証をちゃんと整備しています。フリーランスだって育児休暇があるんです。所得をちゃんと申告していれば育児休暇の間は保証が出ます。」

社会に出てから大学に戻る人も多いそうです。永住権があれば、移民でも教育は無料。浜さんもスウェーデンに移住してきたときに、スウェーデン語の授業を無料で受けています。それにはスウェーデンの国としての明確な方針があります。

「スウェーデンでは、税金を収められる人を育てるという国の方針がはっきりしています。だから移民も教育が無料。その代わりに、ちゃんと勉強して、ちゃんと仕事をして、ちゃんと税金を納めてほしいと。」

とても明確で筋の通った方針だなぁと感心しました。誰も損をしないサイクルです。

暮らす場所を変えることに抵抗がない

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ただ、家賃は高いようです。浜さんが住んでいるのは、街の中心地にある35平米弱のアパートで9万5千円だそうですが、これはかなり安いと。

「スウェーデンでは、住宅のシステムの都合で引っ越しが多くなります。その結果、住む場所を変えることに抵抗がないです。私の友達には、スーツケース2つで引っ越しができる人もいるし、洋服は友達と交換したりとか、蚤の市で売ったりとか、みんな断舎離しながら工夫しています。ヨーロッパ圏内の別の国に住むことも考えながら生活できるのがいいですね。」

北国だからこそ家の断熱はしっかり。窓は全て二重ガラスで、セントラルヒーティングにより、建物全体を暖めています。お湯も全体でシェアするので、給湯器が各部屋にあるわけではありません。洗濯機もランドリーがあって、周りの人とシェアしています。大型家具を持っていると引っ越しのときに不便ですから、とても合理的な仕組みです。

北欧の暮らしを覗いてみて思うのは、大切なものを大切にしているのだなということでした。とくに休日のあり方はとても腑に落ちました。疲れてる体を引きずりながら頑張ってアクティブに過ごすのではなく、平日のあり方から見直す必要があるのだなぁと。平日の深酒でストレスを発散させるより、なるべく睡眠時間をとって土日にやりたいことをするなど、人生を充実させるための過ごし方は、日本でもできることがあるのではないかと感じました。

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「どこで生きる?」
アースガーデンフリーペーパー vol.38
http://www.earth-garden.jp/feature/fp38