すでにそこにあるつながりを手繰り寄せる。<ソラリズム夏2021>が示す「ジャンルレス」の本質

自然の中で、立場を超え対話し、ライブを見る。同じ音楽を共有して、未来を描き、空を見上げる。隠れてしまったつながりを手繰り寄せる空間が「ソラリズム夏2021」でした── 。

音楽業界のアップデート。ソラリズムというフォーマット

新型コロナウイルスにより、音楽の場は徹底的に壊滅されました。1年以上経った今でも、数え切れないほどのフェスやイベントが中止になり、ライブ・イベント業界は苦しみながらも試行錯誤しています。

そんな音楽業界にある希望のひとつが、佐藤タイジが呼びかけ人となりスタートした「ソラリズム」です。これは公園などにあって使われていない野外ステージにフォーカスし、家族で安心して楽しめる音楽が中心の場をつくっていこうというアクションのこと。

日本各地に使われていない野外ステージがあります。そこにいろんなバンドがツアーできるようになればと思っています。街にある野外ステージですから、通りがかりのおっちゃんにも聞いて欲しい。世代間の分断っていうものを取っ払っていける場だと思うんですね。…ぜひ日本の音楽を応援せんがために、みんなで頑張ってつくっていきましょう。みんなでやればできると思います

DEAL『ライブの新しい場づくり。ソラリズム〜佐藤タイジの提唱』より

ソラリズムの第2回目として7月18日に開催した「ソラリズム夏2021」には、ジャンルレスなアーティストという言葉では足らないほどに多様な出演者が集いました。

日本のロックシーンを牽引してきたミュージシャンに混ざり、民謡、盆踊り、DJ。さらにはトークプログラムで、ジャーナリスト、中小企業庁の役人、地域のリーダーたちも次々に対話の場に登場しました。

参加者は、山々を覆う木に囲まれた「ライブフォレストステージ」と地域に開かれた「深沢ステージ」を行き来します。その間には、地域の食や自然に根ざした出店があり、冷たい水が流れる川があり、あきる野エリア自慢の自然を満喫したことでしょう。

子どもたち、地域のおじいちゃん・おばあちゃん、アーティストのファンが思い思いの方法で楽しむ姿は、コロナ禍で様々な制約を受ける日常では、なかなか見られなくなってしまった光景。

でも、ちゃんとあるんです。確かにここに、存在していたんです。

元には戻らない。新しく創造する未来

佐藤タイジは、今の時代に「グレイトリセット」が求められていると言います。

グレイトリセットとは、2021年のダボス会議のテーマです。資本主義の行き詰まり、気候変動、社会の分断、新型コロナウイルスの感染拡大など、多くの社会課題を抱えた私たちに必要とされている、経済システムや社会秩序の見直しと刷新のこと。

つまり「元に戻らず、新しい未来を創造する」という意思表示が必要だ、というわけです。

壊滅的打撃を受けている音楽業界にも次世代への創造が必要です。佐藤タイジは「ジャンルや人種を超え世代の垣根を超え、新しい文化を育て古い文化をアップデート」しようとも訴えます。

日本の地方地域には野外ステージが沢山あります。そこにこの状況で使われなくなったスピーカーを組み、仕事を求める仲間と準備をしましょう!そして近所のジィちゃんバァちゃんも来たくなるような出演者を呼びましょう!

ソラリズム夏2021 開催にあたって

「ジャンルを超える」というとき、つい私たちは、そもそも存在しているつながりのことを忘れがちです。

なくなってしまったと思っていた場所。見えなくなくなってしまったと思っていたつながり。それらは、いまも確実につながっているはずだし、影響しあっていると思うんです。

見えなくなってしまったつながりを手繰り寄せる

ここで興味深いと思った動画を紹介します。ニルヴァーナの元ドラマーで、フー・ファイターズのギターボーカルでもあるデイヴ・グロールが、ファレル・ウィリアムスと音楽の話をしている動画です。

日本語での解説はこちら
https://rockinon.com/news/detail/199528

ニルヴァーナのアルバム『Nevermind』を聴くと、どの曲でも俺がザ・ギャップ・バンドやカメオ、(シックの)トニー・トンプソンなんかから多くをパクったのがわかる。それは全部……昔ながらのディスコなんだよ!

あの有名な「Smells Like Teen Spirit」の『ジャン・ジャン・ジャン・ジャン』がディスコサウンドからの引用だったなんて…!

このようにミュージシャンが生み出す音楽は、他のジャンルの音楽から影響を受けています。音楽だけでなく、本や映画、社会や政治などあらゆることから影響を受けて作られていると思います。

同様に、この1年半、音楽の現場が止まってしまったことは、医療や政治の仕組みと深く関わっています。「音楽に政治を持ち込むな」なんてことを言われたときもありましたが、持ち込むもなにも、最初から影響しあっているのです。

本当はつながっているのに、連動しているのに、それを忘れてしまっていることがある。見えていないことがある。気づかないことがある。

本当はつながっているんです。ジャンルを超えるには、そもそも存在しているつながりに気づくことが大事なのです。

ソラリズム夏2021の最後は、深沢ステージでの盆踊りで幕を下ろしました。一緒に踊る一体感。懐かしい和のリズム。豊かな自然。それらも常に私たちとつながっています。

「自分には関係ないこと」なんて存在しないのです。

音楽は音楽だけでは存在できないし、ミュージシャンは音楽をつくることしかできないわけではない。私たちももちろん、音楽とも政治とも自然ともつながっていて、自分の家族や地域、仕事だけの世界で生きているわけではありません。

見えなくなってしまったつながりを手繰り寄せる。それは、私たちの未来へとつながっています。

次の「ソラリズム」はこちら

2021年9月18日(土)
下里分校(埼玉県比企郡小川町下里824-1)
料金¥5,000-(1Drink付き) / 小学生以下無料
詳細はこちら

アースガーデンの次のフェスはこちら


ハイライフ八ヶ岳 2021
開催日時:2021年9月11日(土)、12日(日) ※雨天開催
会場:サンメドウズ清里 〒407-0311山梨県北杜市大泉町西井出8240-1

出演

クラムボン、渋さ知らズ“八ヶ岳”特別編、奇妙礼太郎、オオヤユウスケ×Salyu×勝井祐二、NABOWA、AAAMYYY、Michael Kaneko、なぎら健壱、マキタスポーツ、大宮エリー、yonawo、bonobos、OLEDICKFOGGY、 佐藤タイジ、辻コースケ、吉井盛悟、Bun Kalimba、MAHBIE、Auto&mst、髙野孝子、四井真治、長野修平、萩原“ナバ”裕作、青木亮輔、シェルパ斎藤、ジョー横溝
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チケット

2日通し入場券:¥9,500 / 1日入場券:¥6,500 ※会場内の絶景リフトの料金込み
場内駐車場:¥1,500、キャンプ券:¥1,000、キャンプ駐車券:¥5,000 ほか

クレジット

主催:ハイライフ八ヶ岳 実行委員会、アースガーデン
共催:サンメドウズ清里、(株)ザイグー、VISUAL AND ECHO JAPAN ほか
企画制作:(有)en
事務局:アースガーデン TEL : 03-5468-3288 http://www.earth-garden.jp
後援予定:北杜市、一般社団法人 北杜市観光協会、NPO 法人 清里観光振興会、ほか

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