選挙フェスの熱冷めやまぬ 三宅洋平と難波章浩が語る「今、僕らに必要なのは、世界はもう変わったことを伝えること」[後半]

2013年7月のアースガーデン“夏”で2千人の心に深くメッセージした三宅洋平/選挙フェスは、その後に全国を巡って渋谷AX「NO MORE FUCKIN’ NUKES」でもアピールし、やがて17万票の“最多得票落選者”として大きな注目を集めました。今、僕たちが、大いに語り大いに計画する、新しい世界の現在進行形。前後半に分けてお送りします。

前半はこちら
http://www.earth-garden.jp/culture/30637/

“フェス”をはじめたのは、俺たち。

三宅「選挙出て思ったのは、今まで俺は自分が気持ちよくなろうと思って生きてきた割合が多かったんだけど『実は、みんなを気持ちよくするほうが、もっと気持ちいい』って、わかった感じ。」

難波「選挙でたらみんなモテるよって? だって結果発表のイベントの時も、洋平くんの周り女の子ばっかりで(笑)」

三宅「それ完全にうがった目線ですね(笑)。でも、実際ボランティアは女性率高かった。」

難波「今回女の人のパワーでかかったでしょ。人気って大事だよ。投票なんて究極の人気争いだもんね、選挙って。もちろん原発、脱原発の思いがあって、太郎くんと一緒にいったわけだけど。でも、それも人気があったからこそだよね。まさに人の気を集めるというか。だって人気がなかったら、すごい思いがあってすごいいい人でも無理だからね。」

三宅「でもこのAIR JAMのステージからの写真をみて『選挙フェス負けた』って思った。これすごい光景だね。」

© AIR JAM 2012 写真:Teppei Kishida
© AIR JAM 2012 写真:Teppei Kishida

難波「フェスってぶっちゃけちゃうと、こういうの始めたの俺たちなんだよ。フジロックと俺たち。」

三宅「AIR JAMと?」

難波「そう。AIR JAM始めた時、まだフェスって言葉なかったからね。」

三宅「確かに、AIR JAMのほうがちょっと早かったのかな。」

難波「フェスって言葉がなかったのよ。イベントとか。ビッグイベントとか言って。こんなに音楽フェスが日本中に広まって、なんとかジャムなんていう名前も広まって。『ジャム』って最初に使ったの、俺たちだから。 それで、なんとか朝霧JAMとか、なんとかジャムっていうのが流行って、どんどん増えて、残波ジャムまでいっちゃった(笑)。」

アースガーデン南兵衛「なるほど、サマソニも千葉マリンのAIR JAMを真似して、ハイスタ活動休止したからサマソニ始めた、って言えるね(笑)。フェスの元祖はAIR JAMだった。そしてその先に出てきた『選挙フェス』。そういう歴史なんだね。」

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難波章浩が見てきたリアルな政治

アースガーデン南兵衛「ちょっと口をはさむけど、2004年の夏の参議院選挙でアースガーデン開催中の代々木公園に、難波くんが喜納昌吉さんの選挙応援でやって来てビックリしたけど、あそこから喜納さんが当選して、その後の政治を難波くんも長く見守ってきたんだよね。それも結構本気で。」

難波「あの選挙の前の沖縄で、菅さんと鳩山さんと小沢さんが始めて3人そろったんだよね、喜納さんの集まりで。それで喜納さんが、難波も手伝えって、オレもアロハシャツの沖縄のかりゆしを着て一緒に壇上にいて。菅さんたち3人が揃うのに立ちあって、喜納さんたちが対抗勢力になっていくのかなって期待はしてた。 ちょうど、エアジャムも出てもらったりして、若者たちのあいだでも喜納さんヤベーッ!てなって、喜納さんの選挙も全部付いて回ったんだよね。」

三宅「そのときもじゃあ結構、若者票入ったんだ?」

難波「入ったよ。喜納さん圧倒的に勝ったよ。あの時も十七万票ぐらい、民主党で。各地で大人気だった、それこそ選挙フェスの元祖だよね。渋谷ハチ公前でもパンパンに人が集まってライブもやって。」

三宅「たしかに、おれもその写真みた。」

難波「オレあの時、政治とかあんまりわかんなかったから。政治ってなんなのか、それを勉強したくて。喜納さんと一緒にいるとすごいいろんな人と会えたから。」

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アースガーデン南兵衛「そうやって喜納昌吉さんとも深くつきあって、今は洋平くんと向き合っているわけだけど、二人は似ているのかな?」

難波「喜納さんと洋平くんとがちがう一番大きいところは、洋平くんがもっとストリートで、俺らと同じっていうか、スケーターていうか。」

三宅:そう思う自分でも。

難波:でも、そんな洋平くんが今ちょっと祭り上げられる感じもあるよね。ある意味期待されて、洋平くんはみんなに動こう動こう、三宅洋平みたいなのが沢山いないと、と言っていながらも、実際リーダーだよね。本当に、引っ張る人。 そういう人になっていくのか、いかないのか? 今どう思ってんのかってことを聞きたい。

三宅「なるようになる。あまり意識するとかしこまっちゃう。 今までも気分に従って生きてきたから、だから選挙も出れたし。だからこれからも自分の気分を信じる。やりたいことしかやらないし、意外とやりたくないこともやらされてたりとか。それで追い込まれてうわーとかなっても、後で思ったらやっぱりあれがあったから今の自分がいるなとかさ。そこって決められないし。 その都度仲間が現れていいこと言ってくれたり、しかってくれたり、喧嘩になって腹たって後でもう一回言われたことで、ちゃんとしたな、とか。」

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難波「でも俺気になるのは、裏腹に半分くらいはやるぞって部分もあるわけでしょ。やってやるぞって。」

三宅「やれることは全部やる。」

難波「あの渋谷のステージで、おれに一票入れてくれ、俺が行くから俺についてこいって瞬間あったじゃん。あの気持ちはまだある?」

三宅「それが政治家になるってことだよね、やっぱり。その腹はくくったつもりだから。」

三宅「けっこうそれをみんなそこを見てると思うよ。心配してると思う。」

三宅「だからさっきも話した、1万人の立候補プロジェクトなんだよね。とにかくいろんな人が多様に議員になるべき。それをどんどん応援して回って、あとは選挙スクールみたいなの作ってって。」

アースガーデン南兵衛「そうすると、おのずと政党って話しにもなるけど。」

三宅「政党をイチからつくる時間が今ないんじゃないかなと思って。だから緑の党に入る形も視野に入れてるよ。」

難波「ムードはもう積み上がっていってるでしょ。さっき勝利って言ったのはそこなんだよね。それはもうできたんだから、洋平くんに次のステップに行ってもらいたいって思うんだよね、俺は。期待しているからさ。」

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たぶん政治ってそんな甘くない

難波「今の体制は全然好きじゃない。一個も好きじゃない。安部総理だって、小泉進次郎だって、親父たちの世界に接して育てられて、それが当たり前だと思って生きてるわけじゃん、彼らは。 そこをそれじゃ成り立たないってことを俺たち国民が伝えないと。多分彼らはあのままいっちゃうんだよね。」

三宅「ただ、原発どうにかするのは確かにみんなでやるしかないから、金も含めて。 国でやるって言うならイコール俺たちでしょ?っていうこと。それは全力を尽くしてやるしかない。そして、みんなでやるんだからイージス艦とか買うのに4千五百億とか使ってる場合じゃないよなーって。だって俺たちがやってんでしょ?って話にもっていきたいんだよね。」

難波「いろんな考えが起こったの俺にも。 4千五百億つかって三兆儲けてそのうち2兆五千億を復興に使いますよとそういう話ならまだ許せるかなと。ただ放射能があるとこに海外の人を呼んでしまうのはどうなのかなとか。しかも嘘をついて。」

三宅「Jビレッジにオリンピックのサッカー選手の合宿所を作るとかって話しも出てきて、なんであんなふうに言えるんだろうね。どういう考えを毎日聞かされてどういう人たちと付き合ってたら、あれ言えるようになるんだろう?」

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難波「もしくはそこは福島は安全だっていうアピールのためにそれをわざというか。」

三宅「あれが言えるってことは、日本サッカー協会の田嶋幸三副会長にも強い思いがあるんだろうから。会って話してみたいとも思うんだよね。それが選挙出たメリットかもしれない。」

難波「そうだよ会った方がいい。それで国民に話すればそこから広まる、そういう流れを作るしかないよね。」

三宅「原発推進の国際的な勢力は、もうそろそろ尽きると俺は見てて。実際アメリカで推進委員会の4トップの一人が、ぶっちゃけ原発政策は産業として成り立たないって認めてたし、おりしも小泉さんのお父さんの方もああいうことを言い出したっていうのは、まぁ自民党のなかで脱原発が世の流れになるから、うちの方にも受け皿を作っとかないとやばいっていう動きだと思う。」

難波「息子を守りたいっていう気持ちもあるでしょう。進次郎も原発については微妙な感じで言い出しているし。」

三宅「もっとピュアな気持ちだったらそりゃ万々歳だけど、たぶん政治ってそんな甘くないじゃん。この期に及んでお父さんの純一郎さん出てきたっていうのは、そこには確かに適役だなって思う。 そこに自民党のアメーバ性っていうか、何でも飲み込む性質が出てるかなと思うけど。ただ、俺たちの目的は、政権打倒して自分たちが政権になったほうがいいならそうするけど、別にこの圧力によって彼らが脱原発になるんなら、それはどうぞ自民党さんがやってくださいよ、って感じなの。政権運営するなんてことは彼らのほうがプロに決まってんだから。」

難波「民主党でもだめだったからね。」

三宅「彼ら自身が変わってくれるならそれは俺たちもやりがいがあったねって話。ただちょっと信用おけないから一角は占めさせてもらうよっていう意味では別に連立で緑の党みたいな、ドイツみたいにね。一緒にやるでもいいし。」

難波「そうだね。だってエジプトとか見てるとあーやって勝ったところでさ、大変だもんね。またCIAとかも入ってきたり? 反撃きちゃう。」

三宅「そうだね。それはおもうツボだしね。アメリカの。あるいはアメリカですらないアメリカの財界。」

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© AIR JAM 2012 写真:Teppei Kishida

洋平くんは元総理の親戚!?

アースガーデン南兵衛「なんか、昔の自民党の橋本龍太郎元総理が洋平くんの親戚だったらしいよね?」

難波「そうなの?」

三宅「親戚っていうか、まあ遠縁でね。橋本さんが戦時中に東京から疎開に来てたらしくて、そのあと親父さんも大臣になって偉くなって、まあうちの親戚のほうでは、『龍ちゃんのおもちゃ』ってのがさ大事に飾られてたりして。」

難波「やっぱそういう。そういうのがあるんだよ。持ってる、家系で。」

三宅「龍太郎さんはある意味、暗殺されたってのが僕の認識だから。じいちゃんは、よくオレに『お前がいちばん龍太郎に似てる』って。一匹狼で喧嘩っ早くて。『だからあいつは自民党で足引っ張られたんだ』って。それで小4くらいの時に橋本さんが首相になった後も、やっぱなんか、”龍ちゃん、頑張ってんな”って思って見てたよね。」

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難波「洋平くんってなんか持っているって感じるところがあって、勝負強いって言うか。 首相なんつってもさあ、やっぱ人間で、日本の政治の世界でだって、海外の人たちとの駆け引きとかだって。全部そう。 今のプーチンとか海外の首脳だって、みんな駆け引きで勝負してる部分があって、『あっちがこうきたらこうだ』とか。そんなの、中学のときにやってた喧嘩みたいなもんで、『あー今電話したら違うな』とか、『これ負けた。ごめんって言うべきかな』とかね(笑)。 そういうことに卓越してる。勉強だけじゃない、頭脳とかスキル、そういう人付き合いとか、すごい学んでいるよね、洋平くんは。すごい勢いで。 全然まだ若いんだから。もうね、じゃあいいじゃないですか。50歳くらいになったって。いいじゃないですか。」

アースガーデン南兵衛「そうだよね。今から20年勉強したってまだ55歳だからね。政治家としては55歳でもまだペーペーとも言われちゃうぐらいで(笑)。」

難波「今はだから、彼女ができてよかったなと(笑)」

三宅「ハニートラップにひっかからなかった。(笑)」

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変えるぞー!じゃなくて、 いやもう変わったんですよって

難波「でも、やっぱりアクションなんだよ。洋平くんも出るか出ないか、迷った時間も当然あったと思うんだけど、アクションした、一歩踏み出した。そして、いい結果を生み出したじゃん。 アクションすることは絶対にいいんだなって思うんだよね。みんな迷ちゃうと思うんだよ、時には。だけどやっぱり「やる」ていう。」

三宅「バンジージャンプだよね。人生飛ばなきゃいけないときがあるよって。 最後にどうやって決めたかって言うと、結局、選挙に出なかったほうが後悔すると思った。何もしなかった自分を持て余すと思った。だから、これはもう行くしかないって。だから飛べたんだよね。 なるようになる。今までも気分に従って生きてきたから、これからも自分の気分を信じる。 追い込まれてうわーってなる時もあるけど、後から思い出したら、あのことがあったから今の自分がいるなっていっぱいあるでしょ?その度に、仲間が現れていいこと言ってくれたり、叱ってくれたり。 波が来ない日は来ないっていうのは、サーフィンと一緒。だから、行くときに備えて・・次の波がオレには見えてるから。そこに向けて、オレのペースで準備をしている。だからまあ、任せてよ。」

難波「みんなで大きな波を作ろうよ。ポンとパドリングしてくればいい。更に仲間作って、パワーアップして。音楽があって、ライブがあって、もっともっと仲間を増やしていこうよ。

こんどの代々木公園はアースガーデンと一緒に、選挙フェスとNO MORE FUCKIN’NUKESでガーンッといくわけだけど、もう次々と仲間が声あげてくれてるから、TOSHI-LOWもOVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUNDで来てくれるし、K DUB SHINEに、佐藤タイジくんもオレから電話したら「是非やろう!」って言ってくれた。まだまだ増えるよ、10月26日当日は。」

三宅「今、それがすげーありがたい。ありがたいよ。 やっぱりさ、自分に出来ることを、MAXやるモチベーションを今回の選挙で得られたし、もうとんでもないことが起きるのは、すでに決まっているよね。それが楽しみだし、これをどうやって世界に伝えていくか。日本のことを真剣に考えているのは、安倍さんばっかりじゃないよっていう。 そういう意味じゃさ、この対談を読む誰か・・名もなき人だからこそ響くことがあると思う。名もない少年がこんなこと言ってる、その一人の質量は、三宅洋平も難波章浩も一緒なんだよ。この紙面に出てるオレらじゃなくて、読んでる何万人がすごい力を持ってるんだから。今、オレら必要なのは、世界がもう変わったんですよっていうことを伝えること。変えるぞー!じゃなくて、もう変わったんですよってことをね。」

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選挙フェス写真:宇宙大使☆スター

編集:南兵衛@鈴木幸一、葛原信太郎、室井舞花
インタビュー&代々木ライブ写真:meg suko