【コラム】新郎新婦が全然来ない!?はじめての、セネガルの結婚式

こんにちは。青年海外協力隊員として西アフリカに位置するセネガル共和国に赴任させていただいている山口織枝です。連載第3回目の今回は、先日はじめて参加させてもらった、結婚式のことを。

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私はWFP(World Food Programme=世界食糧計画、旧宗主国の言語であるフランス語でPAM: Programme Alimentaire Mondial)という国連機関の行う学校給食プロジェクト支援という役割でセネガルに着任しております。そのため、対象となっている学校をまわる中で、給食づくりを行ってくれている地域の女性たち(生徒のお母さんたちや、村の女性たち)と接します。女性たちは無償のボランティアで給食づくりを行ってくれており、とてもパワフルです。

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その、給食づくりを無償で担ってくれている女性で、仲良くさせてもらっている友人の女性が、先日、彼女の友人の娘さんの結婚式があるということで、私も招いて頂きました。

結婚式に参加するのはセネガルに来て初めての体験だったので、どのような感じなのだろう、と思いながら、約束の朝10時ごろに彼女のお家に伺うと、結婚式に向けて綺麗な服やお化粧をする準備に取りかかるところでした。結婚式に出席する人たちが着飾るのは、日本もセネガルも同じこと。私もこの日は、セネガル女性の正装である「タイバース」と呼ばれる仕立て服を着て、(最近ほとんどしていなかった)お化粧もして、出かけました。

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私の友人の彼女も入念な準備をし、一緒に会場に向かいます。会場に着くと、そこには既に沢山の女性たちがいました。聞いたところによると、イスラム教徒の人の結婚式の場合、セネガルでは、女性たちは女性たちだけで待機し、男性たちはモスクに行っている、とのことでした。

会場内の女性たちは、おしゃべりをしたり、日本で言う引き出物のような、来た人に持って帰ってもらうお土産のようなお菓子(この日は「ベニエ」と呼ばれる揚げたドーナツのようなお菓子など)の袋詰めの準備をしたり、料理の準備をしたりしていました。参列する人たちも一緒に結婚式を作る、そのような印象を受けました。

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主役である新郎新婦はいつ現れるのだろう、と、お昼をいただいたり(セネガルのお昼ご飯は午後2時から3時半ごろにとる場合が多い)、お祭りの際などに振る舞われるジュース(普段セネガルの人たちはジュースなどを飲むことはあまりなく、水が主流です)を飲んだりしながら待っていたのですが、一向に現れる気配がありません。

夕方になり、新郎新婦はいつ来るの?と、友人に尋ねると、「新郎はフランスに仕事をしに行っているので、いない(※私の活動する町はヨーロッパでの出稼ぎ労働者が多いと言われており、特に男性が出稼ぎ労働に出ている家庭がある)」と言われ、新婦のみ後で来る、と言われました。新郎がいない中結婚式をする、ということは少し驚きだったのですが、出稼ぎ労働という現在のセネガル社会を投影しているようにも思い、少し複雑な気持ちになったのも正直なところです。

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とは言え、後日友人に尋ねたところ、新郎がいない中結婚式をするのは、セネガルではそれ程大きな問題ではない、と答えており、セネガル社会の持つ独特な大らかさのようなものも感じました。

また、セネガルではお祭りが沢山あり、その度に新しい服を仕立てたりして、特に女性は、煌びやかに着飾り、また普段よりも豪勢な食事を食べたりするのですが、結婚式も、それと似てお祭りのような雰囲気で、結ばれる二人を祝いながら、着飾り、食し、集い、その時間をともに過ごす、ということを大切にしているように感じました。

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最終的に、新婦は日の暮れる直前くらいに到着し、会場にある各部屋をまわって挨拶をしたりしていました。私は新婦到着後に会場を離れてしまったのですが、その後には、参列者から贈り物を渡したり、踊ったりするという流れになり、朝5時頃まで宴が続くと聞きました。準備も、昼間食事をしながら参列者どうしがおしゃべりをする時間も、主賓が登場するのを待つ長い時間も、夜になって踊ったりする時間も、全て含めて、一日をゆっくりと、丸ごと味わう、というこちらの結婚式の様が垣間見られたような日でした。

機会があったら、また参加させてもらいたいと思います。