Rhythm9 / Muff 田口‘マー’将之が語る「社会の波に乗らずに、 自分で波を作る生き方。」

2014年のフジロック・フェスティバル出演など、数々のフェスで活躍するジャム・ファンクバンド・Muff(マフ)。そのリーダーである田口将之さんは東京・下北沢の雑貨屋「Rhythm9」を経営するオーナーでもある。最高の音楽を目指すために選んだ“仕事”は、なぜ雑貨屋だったのか。田口さんの働き方について、お話を伺った。

−−− Rhythm 9というお店をはじめた経緯は。

Muffというバンドを続けるなかで、徐々に野外フェスにも呼んでもらえるようになって、いろんな人との繋がりができました。でも僕は、それをただの「フェスで知り合った友達」という関係で終わらせるのはもったいないって思った。そのツナガリに意味を持たせるために、なにかひとつのカタチを生み出したいっていう思いがずっとあったんです。それはどんなカタチでもよくて、自分が酒好きなのもあり最初は小さなライブバーをやろうと考えました。でも、フェスで知り合う出店者さんから刺激をもらって、自分のやっている音楽とカルチャー的に距離が近い服や雑貨を扱えるSHOP経営の方が面白いんじゃないか?という考えに至り、Rhythm9をはじめました。

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−−−バンドを続けながらお店を経営する。簡単な決断ではなかったと思います。

そもそもいまの店をやろうと思ったのは、千葉県柏市にあったpokapokaのオーナーの谷さんとの出会いがきっかけで、一度、話を聞きに行ったことがあるんです。そのときの谷さんの言葉のなかに「ネオヒッピー」っていう肩書きがあったのを強く覚えています。ネオヒッピーとは、社会の波に乗らずに自分で波を作って生きていく人だと谷さんは言っていて、いまの時代、「ヒッピー」って何を指す言葉か曖昧になってますけど、その肩書きにすごく魅力を感じてしまったんです。その時はまだ店に置く商品も全く決まってなかったんですけど、思い切ってはじめることにしました。

−−−好きなことは仕事にしない方がいい、という考え方もあるかと思いますが。

僕はRhythm9で扱う商品そのものというよりも、その背景にあるカルチャーが好きなんです。そしてそのまわりにいる人間も。そういう意味で、好きな空間に触れながら仕事ができる環境を作ることができました。一番大事にしたのは、自分のライフスタイルと仕事に距離を置きたくないという思いでした。あと、海外に買付けにいくバイヤーという仕事がしたかったんです。その全てを叶えてくれるのがRhythm9なんです。音楽を仕事にしていたら、できなかったことですね。

−−−音楽は仕事ではないのですか?

20代の頃は音楽だけを仕事にして生計を立てていた時期もありました。でも僕は自分自身を売り込むというのが苦手で、音楽をお金にするということに執着しなくなっていったんです。Muffはメジャーではないけどフジロックまで行った。メジャーとかインディーといった線引きのないフェスというシーンにハマる事ができました。今後はCDのリリースもあるし、いま以上に地方に積極的にライブをしに行き、さらに大きなステージも、そして海外のフェス出演も目指します。でも、バンドは商売ではないんです。そこで経験した刺激や新たに繋がる人たちからパワーやアイディアをもらい、Rhythm9の商品ラインナップや経営内容にうまく反映させていけたらなと。というのは、バンド出演がきっかけで知り合うアーティストの作品を店で取り扱う事ができたり、オリジナル商品のデザインに協力してもらったりと非常にいい関係が生まれているんです。逆にRhythm9としてのフェス出店がきっかけで知り合う関係者からバンド出演のオファーをいただいたりと、全てが一本に繋がっているんです。そういう意味合いではバンド活動も仕事の一環と位置付けしてもいいのかもしれませんけどね。

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−−−個人店だとオーナーの主張が全面に出ている店も多いですが、Rhythm9にはそういう押し付けがないように感じました。

お店のアイテムセレクトについて言うと、自分の好みのモノだけを置いてそれで店が成り立ったら最高なんでしょうけど、そんなことをしたら店が潰れてしまうので、偏らずにバランスよくセレクトしています。それでも充分クセのあるアイテムばかりだとは思いますが(笑)間口が広く、誰でも入りやすい店。ただ、他にはない一点もののアイテムもいっぱい置いて、ふらっと立ち寄ってくれたお客さんにいつもとは違うテイストのアイテムを教えてあげたいという思いでセレクト、バイイングしていますね。

下北沢はライブハウスをはじめとする音楽スポットがすごくたくさんあるので、多方面の音楽ファン、ミュージシャンが毎日入れ替わりで来るんですよ。そんな普段なかなか知り合わないジャンルの人達にも、ウチのアイテムをたくさん知ってもらいたいです。そういう気持ちもあり、拘りを持ちながらも偏り過ぎないラインナップを心がけています。

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その代わり音楽制作は非常に偏っていて、売れるとか売れないとか関係なしに自分がかっこいいと思える音を追求しています。じゃないと人前に立って演奏なんてできないですから。もし反対にお店で自分を表現をしたかったら店の利益は度外視して、その分、売れる音楽を作るのかもしれませんね。でも、売れる音楽を狙って作って、売れなかったら相当かっこ悪いじゃないですか(笑)それだったら、音楽だけは自分の好きな方向を貫いた方が説得力があるかなって思うんです。もちろん、より大きなステージで演奏したいので、フロアの反応は常に意識しているつもりなんですが・・・このバランスは何年経っても難しいです。

−−−「ネオヒッピー」として自分で波を作ったら、そこにバランスよく乗らないと社会のなかでは生きていけないということですね。今後はどんな“波”を作っていきたいですか。

何事も僕個人で動いているわけではなく、店のスタッフやバンドメンバー、家族、友人などなど、協力してくれる人がいるからこそ成り立っています。そんな大切な仲間に飽きられないよう、還元できるよう、現状に満足せず、刺激をみんなで共有しながら前進していくことが今、もっとも力を入れていることです。 “お店の知り合い”とか“バンドの知り合い”っていう垣根を越えて、ボーダレスに仲間の輪が広がっていくのを想像するとワクワクしますし、乗りこなせる範囲で、もっともっと広がって大きな波を作りだせたらいいなと思います。音楽、店、繋がり、カルチャー、すべてがひとつです。その環境のなかで僕は永遠にアーティストとして生きていきたいです。

取材日、たまたま「Rhythm9」の前を通りかかったCubetoneのギタリスト、ヒラノマコトさんと田口さん。ギターの部品についての情報交換や、近況報告をし合うふたり。「Rhythm9」を中心に広がる「輪」が垣間見えたひとコマだった。
取材日、たまたま「Rhythm9」の前を通りかかったCubetoneのギタリスト、ヒラノマコトさんと田口さん。ギターの部品についての情報交換や、近況報告をし合うふたり。「Rhythm9」を中心に広がる「輪」が垣間見えたひとコマだった。

earth garden “秋” 2015
Rhythm9 出店 & Muff 出演
http://www.earth-garden.jp/event/eg-2015-autumn/

Muff new album
「HELLO, NEW WORLD」

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2015.10.21 release

#1 Morning glory
#2 Adventures
#3 Coffee & Psychedelics
#4 A drop in the ocean
#5 Yurikago
#6 R.A.T.
#7 Sky walking
#8 Freak out
#9 Peach

JOSSPL-003
2,300yen (without tax)
JUN-ON-SAI-SAI RECORDS

全9曲トータル65分の超大作。JAMでアリ、FUNKでアリ、PSYCHEDELICでアリ。
2本のギター、ベース、ドラム、そして新たに加わったオルガンサウンドで奏でる新世界。
聴けば聴くほど効いてくる変幻自在の音のスパイラル。歴史に残る最高傑作が誕生。

LIVE INFO

2015.10.25

「earth garden “秋”」
第11回代々木クラフトフェア
会場:代々木公園イベント広場(渋谷)

2015.11.07[sat]

タワーレコード梅田大阪マルビル店
「20TH ANNIVERSARY LIVE PARTY」
“WE ARE LIVE FREAKS!”
会場:鰻谷CONPASS(大阪)

2015.11.14[sat]

「踊られる音〜10th Memorial Party!!!〜」
“音楽にとりつかれた大人たちへ”
会場:月見ル君想フ (青山)

2015.11.21[sat]

「巡音彩祭」
会場:shibuya PLUG(渋谷)

2015.11.27[fri]

「三毳フライデーナイトフィーバー」
会場:道の駅みかも(栃木市藤岡町)

2015.11.28[sat]

「ばぶりでぃむtrack3~Muffリリパ群馬編~」
会場:TRUST(高崎市)

2015.11.29[sun]

「リリースパーティー in 栃木」
会場:金魚湯隣の名もなきネパール料理屋(栃木市)

2015.12.11[fri]

リリースパーティー「HELLO,NEW WORLD」
会場:shibuya PLUG(渋谷)