音も楽器も自分で作る!カリンバアーティスト BUNが語る「職人とアーティストの間」

オルゴールの原型にもなった指先ピアノ「カリンバ」。ポロンポロンと優しく、リズミカルに響く音色は多くの人の心を明るく楽しくする。

音も楽器も自分で作る
カリンバアーティスト BUN

職人とアーティストを行ったり来たり

「カリンバ」という楽器の優しい音色を聞いたことはあるだろうか。オルゴールの原型にもなったカリンバは、壊れたクルマやベッドのパーツを組み合わせて作ったアフリカ生まれのDIYな楽器。BUNさんはカリンバ奏者としても、作り手としてもプロとして活躍する。

BUN「葉山のオアシスという海の家がカリンバとの最初の出会い。87年かな。それまでU2のボノを尊敬して、スタイルを真似していた僕が、一気にボブ・マーリーを聞いて、タイパンツを履くようになった。僕、形から入っていくタイプなんだ(笑)」

カリンバを手に入れたBUNさんは、まずは弾くことよりも、作ることに興味を持つ。買ったカリンバを分解して、構造を勉強し、自分で作り始めた。BUNさんオリジナルの特徴的な渦巻きの焼き絵は、夢の出来てた縄文式の火焔土器の模様からインスピレーションを受けたそうだ。

BUN「作るときはまさに職人。とても細かく、繊細な作業だから。ちょっと間違うだけで思った通りの音は出ない。小さな工場が多いこの街を、自分の足でまわり、工場の人と弦の細さや長さを調整しながら試行錯誤して今の形を作ってきたよ。この緻密で数学的な作業とバランスさせるように、表面の絵を描く。職人とアーティストを行ったり来たりしながら制作しているんだ。」

オリジナルな弾き方を極めればいい

メイド・イン・アフリカのカリンバは荒々しいデザインの男らしい楽器だが、BUNさんは繊細な焼き絵と丸みのある形が特徴だ。そして、オリジナルなのは弾き方も同様。

BUN「本格的にカリンバを習いたいと思って、タンザニアに行ったんだ。カリンバ奏者の人間国宝、フクウエ・ザウォセに弟子入りした。その時はカリンバを弾きはじめて5年かな。習い始めたはいいんだけど、自己流が身につき過ぎてレッスンについていけない。そんなある日、ザウォセにセッションしようと誘われた。そのセッションが素晴らしかったんだよね。とにかく気持ちが良かった。そして『もう、明日からレッスンに来なくていい。そのオリジナルな弾き方を極めなさい』って応援してくれたんだ。」

自分で作った楽器で、自分で作った音楽を奏でる。全てをDIYでこなすBUNさんの次の目標は映画音楽の全編プロデュース。ここまで来たら、映画も自分で作ってしまえばいいのにと思ってしまう(笑)そこの映画監督さん、ぜひカリンバの音を使った映画、撮ってみては?

BUN
http://www.medialabo.co.jp/moon/