東北記録映画三部作『なみのおと』『なみのこえ 気仙沼編/新地町編』『うたうひと』

東日本大震災の被災地で、2年の歳月をかけて丁寧につくりあげた映画作品『なみのおと』『なみのこえ 気仙沼編/新地町編』 『うたうひと』が、春のお彼岸に連続上映されませす。この映画、被災の風景はほとんど現れないそうです。

酒井耕・濱口竜介両監督、いとうせいこう氏、小野和子氏によるトークなども見逃せないですね。

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この映画では、被災の風景はほとんど現れません。前二作では家族、友人、同僚など、親しい間柄の人たちが、あらためてそれぞれの相手と向き合い、話を交わす。そうすることで自身の体験が、語っている現在に引き寄せられて、親しい他者と時空間を共有していく。さらには、歳月を経て見ている観客とも共鳴を起こしていくようにも思えます。最終編となる『うたうひと』では、みやぎ民話の会、小野和子氏の活動を追い、語り継がれる物語りとそれを聞き繋いでいく人びとの呼応を感じることでしょう。語る者と聞く者、その相互作用がそれを聞く私たちのもとへと送り届けられて、私たちは、誰にどうやってそれを引き渡していくのでしょうか。

お彼岸には昼と夜が同じ長さになるため、日本では、あちら側とこちら側が最も通じやすくなると考えられて先祖供養をするようになったそうです。春へと向かうこの時期に、語り尽くせぬ声を聞き、そしてまた語り続けることの意味を考えていきたいと思います。

第一部 なみのおと

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津波被害を受けた三陸沿岸部に暮らす人々の「対話」を撮り続けたドキュメンタリー映像。
友人、家族、仕事仲間など親しいもの同士が震災について語り合う口承記録の形がとられている。
互いに向き合い対話する事は震災そのものに向き合うことでもあるのかもしれない。被災地の悲惨な映像ではなく、対話から生成される人々の「感情」を映像に残すことで、後世に震災の記憶を伝える。

日付:2015年3月20日(金)
時間:18:30開場 / 19:00開演
場所:P3 art and environment
料金:予約 ¥1,500 / 当日 ¥2,000 1ドリンク付

19:00~21:24 『なみのおと』上映
21:40~22:40 酒井耕 × 濱口竜介 × いとうせいこう 聞き手:芹沢高志(P3 統括ディレクター / silent voice 共同プロデューサー)

第二部 なみのこえ

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『なみのおと』から一年。新地町と気仙沼での対話が記録された。「被災者」の声ではなく、現実にそこに生きる「一人ひとり」の声として。百年後、私たちは死者であり、この映画は「死者の声」になっているだろう。
ここに収められた彼らの声と、今は聞く事のできない波に消えた声が、百年後の未来で繋がっていることを祈って、この映画『なみのこえ』は撮られている。『なみのこえ 新地町』『なみのこえ 気仙沼』の二編構成。

日付:2015年3月21日(土・祝)
時間:13:30開場 / 14:00開演
場所:P3 art and environment
料金:各編 予約 ¥1,500 / 当日 ¥2,000 1ドリンク付
 
14:00~15:23 『なみのこえ 新地町』上映 
16:00~17:29 『なみのこえ 気仙沼』上映 
18:00~19:00 酒井耕 × 濱口竜介 × 東長寺住職 瀧澤遥風映 聞き手:芹沢高志(P3 統括ディレクター / silent voice 共同プロデューサー)
19:00~20:00 懇親会

第三部 うたうひと

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古来より口伝えで人々に受け継がれてきた民話。奇想天外な物語のみならず、「語り手」と「聞き手」の間に生まれる独特の場が、創造的なカメラワークによって記録され、スクリーンに再現される。
背景となった人々の暮らしと共に語られることで、先祖たちの声が甦る。
映画と民話の枠を超えた、新たな伝承映画が誕生した。物語の考察なども含め十数話を収録。

日付:2015年3月22日(日)
時間:13:00開場 / 13:30開演
場所:P3 art and environment
料金:予約 ¥2,500 / 当日 ¥3,000 1ドリンク付

13:30~14:30 小野和子講演 
14:45~16:45 『うたうひと』上映 
17:00~18:00 酒井耕 × 小野和子 × 芹沢高志(P3 統括ディレクター / silent voice 共同プロデューサー)
18:00~19:00 懇親会